週刊ビル経営・今週の注目記事
毎週月曜日更新
三井不動産/ガンバ大阪/関西電力 「万博スマートシティ」計画で防災に強い街づくりを目指す
2015.11.23 14:43
複合施設とサッカー場でエネルギーを効率活用
三井不動産(東京都中央区)は、大阪府吹田市の万博記念公園で開発を進めている大規模複合施設「EXPOCITY(エキスポシティ)」において、隣接地の「私立吹田サッカースタジアム」の指定管理者であるガンバ大阪(大阪市北区)と関西電力(大阪市北区)と共同で、当該エリアを「万博スマートコミュニティ」と称して、エネルギーに関する各種取り組みを行う。「万博スマートコミュニティ」では「再生可能エネルギーの活用・エネルギー利用の効率化による省エネルギー・省CO2」、「エネルギーの観点からの地域防災力の向上」をテーマに、大規模複合施設とサッカースタジアムという日本初の組合せの複数施設において、歴史ある万博記念公園および地域社会と調和した新たな街づくりを目指す。
再生可能エネルギー発電設備として「EXPOCITY」に設置する太陽光発電(106・08kW)と蓄電池(168kWh)の電力を「EXPOCITY」とサッカースタジアムで面的に活用し、省エネルギー、省CO2に取り組んでいく。具体的な活用方法としては太陽光発電と蓄電池を直流で接続することでロスを極力低減して蓄電池に充電し、充電が完了した以降は太陽光発電の電力を「EXPOCITY」とサッカースタジアムで面的利用していく。蓄電池に充電された太陽光発電の電力は、平常時にスケジュール運転によってコミュニティ内の電力ピークカットを行う。また、万が一、系統電力が停電した場合、非常用発電機に加えて太陽光発電と蓄電池の電力を活用することで非常用発電機の燃料消費を抑制していく。
「万博スマートコミュニティ」の新規性として、近年、地球温暖化対策や省エネルギーの方策としてエネルギーの面的利用に関する様々な検討が行われているが通常、電力の受電は施設・建物単位などで個別に行われ、当該施設・建物内のエネルギー需要に応じて受電設備や各種エネルギー設備を設置するのが一般的である。一方、同計画は「EXPOCITY」とサッカースタジアムが受電設備を介してつながることで、太陽光発電と蓄電池からの電力を面的に利用することを可能とし、さらには地域の避難所であるサッカースタジアムで必要となる電力を「EXPOCITY」の太陽光発電や蓄電池といった分散型電源で賄うといったように、各施設の特性を生かすことで多様性のある設備計画やエネルギー利用を可能としている。同計画には、環境省の補助金を受けて、低炭素社会創出促進協会(東京都港区)が実施している。「自立・分散型低炭素エネルギー社会構築推進事業」が活用されている。