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大成建設 建築物補強・増設のための鉄筋挿入・定着工法を開発
2015.11.16 16:18
大成建設(東京都新宿区)は、既設コンクリート建築物の補強・増設のための鉄筋挿入・定着広報「Post―Head―Anchor」(ポストヘッドアンカー)を開発した。これにより、建築物の耐震性能が大幅に向上する。
建築物の増改築において耐震補強を行う場合には、既設建築物に新たに構造体を接合する方法などが取られている。この際、既設建築物と構造体との間で鉄筋に作用する引張力を確実に伝達することが必要となる。しかし、これまでのボルトや留め具などを機械的あるいは接着剤で躯体に固着する「あと施工アンカー」工法は、主にせん断力の伝達が対象であり、引張力の伝達には用いることができなかった。
同社は、既設と新設期待を鉄筋挿入・定着により接合し、地震時に発生する引張力を躯体間で確実に伝達することで建築物の耐震性能を大幅に向上させる工法「Post―Head―Anchor」を開発した。
同工法はまず1・既設コンクリート躯体を削孔、2・その孔内に特殊モルタルを圧入充填、3・充填された孔内に、鉄筋径よりもやや大きなプレート(定着板)を端部に付けた鉄筋「Post―Head―Anchor」を挿入して定着する工法。
「Post―Head―Anchor」の特徴としては、実験により地震時の鉄筋とコンクリート間の伝達力を検証してコンクリート躯体への鉄筋挿入長さを決定しており、躯体間で確実に引張力が伝達できる点や、地震時などの短期的に生じる引張力に対してだけでなく、常時に生じる引張力の伝達も可能で建築物の安定性が確保されている点、定着部の施工には、土木分野ですでに実用化し、実績も豊富な後施工せん断補強鉄筋を用いた「Post―Head―Anchor」工法の使用材料、削孔、モルタル充填などの技術を応用しており、高い施工信頼性が得られる点、既設建築物への躯体の増設、床や設備の増設など、リニューアルや改修にも適している。
なお、同工法は日本建築センター(東京都千代田区)の一般評定を取得しているため、増改築等で建築基準法の確認申請が必要な建築物にも直ちに適応することが可能。
今後は、発電所等の重要施設の地震・津波時対策として、建屋の安定性確保など既設コンクリート建築物の補強・増設工事への適用を目指すとともに、一般的な建築物の増改築や耐震補強工事にも順次適用していく予定。