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大林組 CO2排出量を削減する低炭素型のコンクリートを実用化

2015.04.27 14:04

 大林組(東京都港区)は低炭素型のコンクリート「クリーンクリート」の普及・展開を図るため、JIS(日本工業規格)に適合した低炭素型混合セメントを国内で初めて実用化した。
 同社は平成22年に高炉スラグ微粉末などを用いることでCO2の排出量を大幅に削減した。低炭素型のコンクリート「クリーンクリート」を開発し、紀尾井町プロジェクト住宅棟や災害廃棄物処理業務など、これまで4万5000㎥に適用してきた。  しかし「クリーンクリート」を含む低炭素型のコンクリートの製造は通常のコンクリートに比べて、必要な材料が多くなるため、材料の調達や生コンプラントにおける貯蔵設備の追加などが普及・展開を図るうえでの課題だった。
 そこで同社では「クリーンクリート」の汎用性を高めることを目的として、国内で初めてJISに適合した低炭素型混合セメントを実用化した。従来は生コンプラントにおいてセメントと高炉スラグ微粉末などを混練していたが、今後は混合が済んだセメントがメーカーから製品として生コンプラントに出荷される。「クリーンクリート」を通常のコンクリートと同様に製造できるようになるので、供給可能エリアが大幅に拡大し、多くの案件に適用することが可能となる。「クリーンクリート」は今月15日には2015年度科学技術分野の文部科学大臣表彰において「科学技術省」を受賞。また昨年は日本建築学会から「日本建築学会賞(技術部門)」も受賞している。
 2020年の東京五輪・パラリンピックを控え、国内ではさまざまな施設やインフラの整備が進んでいる。同社はCO2排出量を大幅に削減できる「クリーンクリート」など、環境配慮型のコンクリートを開発するとともに、自社だけでなく、建設業界全体に広く展開する活動を継続することで持続可能な社会の実現を目指すとしている。




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