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大成建設 地震時の構造物の損傷確率を高精度に短時間で算定
2015.04.13 17:39
大成建設(東京都中央区)は、地震時に構造物が損傷する確率を精度よく短時間で算定し、構造物の安全性を評価する「信頼性設計法(設計対象の構造物が所定の機能を発揮するための信頼度を評価する設計法)に基づく耐震設計システム」を開発した。
設計の想定以上の大地震に対して、構造物の安全性を評価することは、地震防災対策を立てる上で重要だ。特に発電施設や公共インフラ施設など、万一地震被害が発生すると社会に大きな影響を与えることが懸念される施設では、想定以上の大地震による構造物への影響を的確に評価することが必要となる。現在の構造物の耐震設計には非常に「まれ」にしか生じない想定以上の大地震による被害を計算する手法として信頼性設計法がある。信頼性設計法では、確率論的方法(不確実性や偶然性の高い現象の発生確率を算定するための数学的手法)に基づいて地震時の構造物の損傷確率を算定するが、計算の精度を向上させるには、数万回に及ぶ膨大な繰返し計算を必要とし、多くの労力と時間を要する。そのため、現状の実務設計では部分的に安全係数を用いて簡略化された設計法を適用しているが、この設計法では構造物の損傷確率を算定するのが困難であった。今回開発した「信頼性設計法に基づく耐震設計システム」適用することで、想定以上の大地震に対する構造物の損傷確率を精度よく短時間で算定することが可能となる。
同システムの特長として、同社が開発した既往の構造物耐震解析プログラム「TDAPⅢ」に、並列分散処理、統計分析などの機能を新たに整備し、計算処理時間を大幅に短縮している。例えば従来1カ月程度を要する計算を1日程度で実施が可能。また、大きさや地盤、コンクリート材料などの特性のばらつきを考慮し、地震により構造物に発生する力、変形量や構造物の強度などを組み合わせた数万回レベルの計算を高速で繰り返すことにより計算精度を向上させ、構造物の損傷確率を算定する。
同システムの適用により、構造物の受ける損傷ドアから安全性を精度よく評価するとともに、設計条件の様々なばらつきと構造物の損傷確率との関係を分析することで、地震時に構造物の安全性に影響を与える条件などを特定し、合理的な対策を検討することができる。今後は、発電施設公共インフラ施設などの重要な構造物の耐震設計位に同システムを適用し、より安全で安心な構造物の構築を目指す。