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三井不動産 柏の葉スマートシティ 日本初の分散電源エネルギーの街区間電力相互融通が本格稼働

2015.02.02 17:16

電力ピークカットと防災力強化を実現
 三井不動産(東京都中央区)は、千葉県柏市において環境共生・健康長寿・新産業創造を目指して街づくりを進めている「柏の葉スマートシティ」において、日本ガイシ(東京都千代田区)の電力貯蔵用NAS電池システムを設置し、1月より運転を開始。NAS電池の設置により、太陽光発電や蓄電池などの分散電源エネルギーを街区間で相互に融通するスマートグリッドが本格的に稼働する。同社によると、自営の分散電源や送電線を使い公道をまたいで街区間で電力相互融通を行う日本初のケースとなるという。
 NAS電池は日本ガイシが世界で初めて実用化したメガワット級の電力貯蔵システム。大容量、高エネルギー密度、長寿命を特長とし、鉛蓄電池の約3分の1のコンパクトサイズで、15年の長期にわたって安定した電力供給が可能となる。導入実績は全世界で約190カ所、合計45万kW(容量315万kW時)以上に及ぶ。今回設置したのは平常時のピークカットや非常用電源として稼働する機能を備えたNAS電池システムで、定格入力、出力ともに1800kW、定格容量は7・2時間放電で1万2960kWh時となる。
 これまで「ゲートスクエア(ホテル・オフィスなど)」側から「ららぽーと柏の葉(商業施設)」へ一方的に電力を供給していたが、「ららぽーと柏の葉」側に新たにNAS電池が設置されたことで、平日の電力需要が高まる「ゲートスクエア」側へ供給することができ、街全体の電力ピークカットが実現可能になる。また、休日は商業施設の電力需要が高まるため「ゲートスクエア」から「ららぽーと柏の葉」に電気を供給。これらの取り組みにより、柏の葉スマートシティの地域レベルで約26%の電力ピークカットを行い、省エネルギー・CO2削減に貢献するとともに「ゲートスクエア」、「ららぽーと柏の葉」両施設合計で電気料金削減など年間約1000万円の経済的なメリットを見込んでいる。また、災害等により系統電力が停電した非常時には、柏の葉スマートシティに分散設置した発電・蓄電設備の電力を「特定供給」として住民生活の維持に必要な施設・設備にまで供給し、街の防災力の向上にも寄与する。

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