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日本ダム 電源不要の蓄光プレートで停電時の安全な避難誘導を実現
2014.11.24 16:34
東日本大震災をきっかけに、テナントビルに入居する企業の防災への関心が非常に高まっている。耐震補強に代表される建物の安全・安心に対するニーズだけではなく、各企業は災害等が発生した際の従業員の安全確保に向けた防災計画の策定に注力している。実際に大規模な災害が発生すれば電気や水道といったライフラインが遮断され、建物内では非常用照明や避難経路を示す誘導灯が安全確保への頼りとなる。しかし、建物内の場所によっては周囲に非常用照明や誘導灯がなく、的確な避難を困難にするケースも考えられる。こうした停電時でも安全な避難誘導を実現するアイテムとして注目されているのが蓄光材の活用だ。
衣服やユニホーム等のプリントネームを主に手掛けている日本ダム(福井県福井市)では、夜間などでの視認性を高める再帰反射材や蓄光フィルムの開発・販売を行っており、その実績を生かして超高輝度発光性能を有する蓄光プレートを開発。階段など段差の生じる箇所や地下駐車場や機械室といった比較的明るさが届きにくい箇所への設置を中心に、建物内の安全な避難誘導を実現するアイテムとして販売展開を行っている。
同社が開発した蓄光プレートは、太陽光や照明ランプから照射された光を蓄えて暗闇の中でも自らが発光するというもので、電力不要でメンテナンスフリーと環境に配慮した仕様が製品の特長だ。また、同製品は200ルクスの蛍光ランプで20分間照射した後の性能試験で、1㎡あたり345ミリカンデラの明るさを計測した。これはJIS規格で定められたりん光輝度を大きく上回る数値である。同社常務取締役の内山忍氏は「わずかな時間でも高輝度の明るさを長時間にわたって発光できるのが当製品の特長です。裏面を建物内のあらゆる箇所に接着すれば、日中の太陽光や照明ランプの光を蓄光し、一晩中明るい状態で発光し続けることができます。福井県内の当社の本社事務所でも、建物内の至る所に蓄光プレートを設置し、停電時の安全な避難誘導に活用しています」と話す。
この他、同社では蓄光プレートとLEDの導光板を組み合わせた「高輝度蓄光導光板標識」の開発を進めており、今後商品化に向けた取り組みを本格化させる構えだ。