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三井不動産 竣工40周年を節目に「新宿三井ビル」が更なる進化

2014.09.22 13:25

 西新宿高層ビルの先駆けとして昭和49年に竣工した「新宿三井ビルディング」。10月1日に竣工40周年を迎える同ビルでは、常に時代を先取りするビルであり続けながら同社の都市開発のコンセプト「経年優化」を体現するためにハード面によるリニューアルとソフト面のサービス強化を繰り返してきた。その取り組みは現在も進行中だ。 
 現在、三井不動産(東京都中央区)は同ビルにおいて長周期地震動が発生した場合の揺れを大幅に低減させるため、日本初となる超大型制震装置TMDを屋上に設置する工事を進めている。費用は50億円。施工は鹿島建設が行い、来年4月末に竣工を予定している。
 TMDとは鉄骨のやぐらの中に300トンの錘を8本のワイヤーケーブルで吊り下げ、建物が揺れた方向とは逆方向に錘が振れることで震動エネルギーを吸収する仕組みだ。元々は高層ビルの風揺れ対策に用いられていたが、錘を大型化することで地震対策として発展させた。屋上に設置するTMDは全部で6基。屋上の中央に存在する棟屋を挟みバランスよく3基ずつ配置する。制震装置の効果は東日本大震災時の新宿エリアにおける観測時の揺れ幅を6割削減し、地震が終わった後の揺れの継続時間を6分の1に低減させるという。
 「11月中旬に4基目が完成する予定です。制震装置がバランスよく配置される4基目が完成した時点で、固定していた錘を開放し、制震装置として稼働を開始します」(三井不動産 ビルディング本部 運営企画部 資産管理グループ 嶋田 一郎氏)
 一方、ソフト面の取り組みは同ビルの最大の特徴であり、竣工当時(40年前)から実施してきた。その理由は、同ビルが建設される以前は周囲に低層住宅が存在し、周辺住民から「公共性、福祉性、開放性」を持つ建物を要望する声が多かったためだ。高層化によってできたビルの足元に緑と水辺を取り入れた。そして多目的広場「55HIROBA」やロビー階等の開放的な空間を使って竣工時から様々なイベントを実施。会社対抗のど自慢大会のような入居テナントを対象にしたものばかりでなく、芸能山城組によるケチャまつり、自衛隊・米軍音楽隊によるコンサート等、地元住民が参加できるイベントも実施。テナント就労者が仕事終わりにフラワーアレンジメント教室や料理教室を体験できる講座等を開催している。
 「こうしたイベントは時を重ね、継続して実施することで価値を高めていく。弊社の考える『経年優化』の取り組みのひとつだと考えております」(三井不動産 ビルディング本部 法人営業統括部 新宿法人営業グループ 大原 隆司氏) 現在はロビー階にて「新宿三井ビルディング40周年記念展示」を実施している。同ビル各・入居企業・西新宿の発展の歴史を年表や各企業ブースにより展示する他、「西新宿検定」と題した参加型のクイズイベントも用意している。




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