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芝浦工業大学 コンクリートの硬化状態が分かる
2014.08.04 14:55
芝浦工業大学(東京都江東区)は7月29日、土木工学科の伊代田岳史准教授が電気抵抗値を測ることで施工中のコンクリートの硬化状態を定量的に把握できるシステムを開発した。
構造物の建設過程において型枠に流し込んだコンクリートが十分に硬化するまでビニールシート等で覆い、常に温度や水分状態を保つために「養生」する必要があったが、目安とする養生期間はコンクリートの種類や気候・温度等の条件の違いに関わらず一律に定められていた。そのため、コンクリートが十分な硬度になっていると判断して型枠から外しても実際は硬化不良や強度不足のため、ひび割れを起こしてしまうケースもあった。さらに過剰な養生によるコスト増加や施工スケジュール管理の難しさ、構造物の安全性の不十分さ等に繋がることも問題視されていた。
同システムを用いることで、コンクリート養生状態の把握、その後の強度・耐久性・寿命を推測することが可能になる。コンクリートの硬化状態には内部の水分量が関係しており、水分量を把握するためには電気抵抗の利用が有効であることは知られていた。伊代田准教授はこの点に着目し、型枠の中のコンクリートにステンレス製の針金を繋ぎ電気抵抗値を得ることでコンクリートの硬化状態や寿命を定量的に把握できる技術を確立。電流の電位差を測定・解析することで電気抵抗値を計測、温度や湿度等の外気の状態に関わらず養生を終了させる時間を導き出せる。
今後は無線ネットワーク技術と連携し、現場にいなくとも施工中のコンクリートの状況を効率的に管理できるシステムの実用化を目指すという。