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JLL 各国不動産市場の「透明度」ランキング2年ぶりに発表

2014.07.07 12:13

日本市場は26位・市場データや共益費の内訳公開などに課題も
 総合不動産サービスを展開するJLL(ジョーンズ ラング ラサール・米シカゴ)とラサール インベストメント マネージメント(米シカゴ)が、世界の不動産市場の透明度を数値化した調査レポート「2014年度版グローバル不動産透明度調査」を発表した。
 2014年版で最も透明度が高かったのは前回2位の英国。JLLによれば上位の透明度の差はわずかで、9位以内の透明度「高」に分類された国々は過去10年間トップ争いを続けている。
 調査は2年に1度行われるもので、2014年版は世界102の不動産市場が対象。収集したデータとアンケート調査を通じて115の要素を分析し数値化している。スコアは要素ごとに付加され、最も透明度が高いと判断された国(市場)に1・00が、最も透明度が低いと判断された国(市場)に5・00がつけられる。
 日本は総合スコア2・22で26位。順位は25位から落としたものの、スコアは前回の2・39から改善した。JLLではスコアの改善について、2012年10月に不動産証券化協会(東京都港区)が非上場不動産ファンドのパフォーマンスを評価する指標を新設したことや、Jリートの英語ウェブサイトの充実化などが寄与したとしている。課題としては、物流施設関連のデータが充実しつつある一方でオフィス以外の市場データがいまだに限定的である点、共益費の内訳の透明度が低い点などが他国に比べ大きく劣っているとしている。
 日本の不動産市場の透明度は着実に向上しているものの、経済の成熟度や市場規模からみると依然として透明度の低い市場という位置付けだ。
 全体的に見ると、調査対象市場の約8割でスコアが向上。透明度は世界的に向上しているといえるが、JLLではその主な理由について「政府や企業の土地登記情報のオンライン化などのオープンデータ化の促進や技術の進歩」、「透明度の低さによる悪影響の認識拡大」、「不動産市況回復による再注目」、「ソーシャルメディアの普及」を挙げている。
 また上位を独占しているのはいずれも英語圏で、市場透明性改善に依然として言葉の壁が立ちはだかっていることを感じさせる。




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