不動産トピックス
クローズアップ 調湿製品編
2014.05.23 10:16
日本の気候においては、夏場は高い湿度に、冬場は乾燥に悩まされるという地域が多いだろう。建物の寿命や室内の空気環境など、建物の内外に大きな影響を与える湿度環境に、不動産オーナーはどのように付き合っていけばよいのだろうか。
ダイキン工業(東京都港区)が平成25年に発売開始した除加湿ストリーマ空気清浄機「クリアフォースZ」は、同社の本格空気清浄機と自動湿度コントロール機能を1台に搭載させたものだ。
同製品は、単純に夏は除湿し、冬は加湿するのではなく、除湿と加湿を自在に切り換えて部屋の湿度を自動コントロールする「おまかせ運転」機能を搭載し、季節や時間帯による湿度環境の変化だけでなく、室内の温度変化や炊事、在室者の人数変化など、生活シーンによる湿度環境の変化にもきめ細やかに対応する。
さらに、除湿方式には、空気中の水分を吸湿剤に吸着させて除湿する従来のデカント式から、エアコンにも使われているヒートポンプ式(コンプレッサー式)を採用し、除湿にかかる1時間当たりの消費電力を約60%削減し、パワフルかつ省エネな除湿を実現。
同製品は、除加湿だけでなく、カビ菌・アレル物質・ニオイなどをストリーマが空気清浄機内で分解・除去するのに加え、プラズマイオンを発生させ抑制するダブル方式や、吸引したホコリや花粉を帯電させてフィルターに吸着し、集塵能力を持続させる電気集塵方式、加湿フィルター、加湿水をストリーマにより除菌し、清潔加湿を実現する「水除菌」など、本質機能である空気清浄においても優れた能力を発揮。
黄砂やPM2・5といった空気質対策や、洗濯物の部屋干しや結露などの湿度対策など、多様化するユーザーのニーズに応える製品だ。
環境や省エネに関する改良技術の推進・普及などを広く事業展開するパッシブエネルギージャパン(さいたま市大宮区)は、ダクトレス全熱交換換気システム「せせらぎ」を販売している。
代表取締役社長のドイティンガー・クリスティアン氏は、母国・ドイツから日本に移住したことがきっかけで、日本の住環境改善に貢献したいと考えるようになった。
「来日して感じたことは、日本とドイツにはほとんど気温差はないのに、とても熱く、日本の建物が暑さ寒さ対策に無頓着であると感じました。日本のオフィスの空調管理は、ほとんどが冷暖房システムに頼っていることや、冬場の著しい乾燥、室内の人口密度の高さによる二酸化炭素濃度の高さなどが問題点でしょう。既に導入された事例としては、1530㎡(35区画)の場合、製品を72台設置して、ボリュームディスカウントを含んだ上で、約450万円でした」(ドイティンガー氏)
熱交換換気システムである「せせらぎ」は、エアコンで作った快適な温度を維持したまま、換気ができる。最大熱交換率93%あり、冷暖房効果が長持ちし、経済的である。湿度が約50%に保たれるため、冬場の過乾燥を防げるうえ、結露やカビ・ダニが発生するのを防ぎ、衛生面の向上と、建物の長寿命に貢献する。ダクトレスであるため、汚れがたまらずに常に清潔な空気を保つことができる。ダクトがあるシステムの場合、専門技術者によるダクト内の清掃が必要になるが、「せせらぎ」の場合はその必要もなく、メンテナンスコストが削減できる。
また「せせらぎ」は省電力設計で、ダクト経路の制限がなく、自由な設計が可能である。
ウェットマスター(東京都新宿区)が販売するオフィスビルなどの空調用として使用されている天埋カセット型/滴下浸透気化式加湿器「てんまい加湿器」は、昭和61年の販売開始以来、ビル空調の個別分散空調への移行に伴い、単独取材・室内直接加湿の利便性が高く評価されたロングセラー商品だ。
近年のオフィスビルはパソコンや照明からの発熱で暖房を行うのは朝の空調立ち上げ時のみで、昼間は換気のみや冷房運転を行う例も見られ、乾燥した外気の影響で湿度不足が課題となっている。また、オフィスビルや居住空間の湿度環境は、風邪対策や肌の保湿など健康・美容面から関心が高まっている。
こうした背景をもとに、同社が平成24年に行ったモデルチェンジでは、リモコンスイッチの多機能化や外部インターフェイス機能を強化し、外部指令信号入力による加湿器遠方発停への対応や、水道管直接連結仕様(第三者認証品)のラインナップなど、施工性や日々の運転管理などの利便性向上を図った。