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三井不動産 「豊洲ベイサイドクロス」来年4月24日グランドオープン

2019.12.09 14:53

 三井不動産(東京都中央区)が豊洲二丁目駅前地区ですすめる「(仮称)豊洲二丁目駅前地区第一種市街地再開発事業2-1街区AC棟計画」の街区名を「豊洲ベイサイドクロス」と命名し、2020年4月24日にグランドオープンすると発表した。
 同計画地は地権者であるIHI(東京都江東区)と連携して推進しているもので、1980年代から始まった豊洲二・三丁目における大規模再開発の一環。三井不動産は、オフィスや商業施設、レジデンスを展開するなど、豊洲の街づくりの中核を担ってきた。2006年に開業した「ららぽーと豊洲」は注目を集め、今では豊洲エリアの代表的なスポットになった。
 豊洲エリアは都心にありながらも海や緑を感じられる立地から、住宅地として、またオフィス街としても発展し、人口・世帯数は年々増加している。近年は買い物や観光を目的とした来街者も増加し、街にはオフィスワーカーや住民、インバウンドを含む人々が往来している。
 今回誕生する「豊洲ベイサイドクロス」の核となる建物の名称は、「豊洲ベイサイドクロスタワー」に決定し、2020年3月31日に竣工する予定。地上36階地下2階、延床面積18万4800㎡のビルを中心に、最先端の機能を持つオフィスゾーン、バラエティに富むショップが揃う商業ゾーン、ビジネス客から観光客まで対応可能なホテルで構成される。ゆりかもめ・東京メトロ有楽町線「豊洲」駅に直結し、銀座エリアまでも10分圏内と交通利便性も高い。
 オフィスゾーンは、自由度の高い基準階面積約3300㎡の大規模フロアプレートにより、様々なシーンに合わせた働き方を実現する。オフィス専有部内の一部には屋外テラス、吹き抜け階段などを用意し、外構、オフィスワーカー向け施設とともに、従来のオフィス空間とは異なる新しい場を提供。ソフト面でも、スマホアプリによるトイレの空き状況確認や、「ららぽーと豊洲」と連携して一部飲食店舗の混雑状況の確認や予約が行えるなど、ICT技術により快適な働き方をサポートする。
 オフィス共用部3階には、オフィスワーカーの生産性や効率を高める専用施設「+C」を設置。「+C」には、ランニングステーションとしての利用も可能なミニフィットネスとシャワールーム、ラウンジや貸し会議室などが設けられる。他にも、映像・音・香り・照明をコントロールする技術を用いて集中力をより高める集中ブースや、音響と照明技術によりリラックス度を高めるリフレッシュルーム等も設置予定。また、顔認証技術による会員確認・支払決済を導入し、快適な施設利用を促進する。
 地下1階~地上4階の商業ゾーンには全36店舗が新規出店。住む人・働く人・訪れる人など、多様な客層のニーズに応える充実した飲食・物販ゾーンが誕生する。憩いの空間を提供するテラス付きレストランや仕事帰りに寄れる飲食店舗、ベーカリーや食品など、商業施設初出店4店舗、新業態3店舗を含む36店舗で構成される。また、既存の「ららぽーと豊洲」も、約70店舗の新店・改装でリニューアル。さらに、新たなデッキで接続することで利便性と回遊性を高め、これまで以上の賑わいを創出する。
 33階~36階には、「三井ガーデンホテル豊洲ベイサイドクロス」(全225室)が、6月25日に開業する。ホテルの運営は、三井不動産ホテルマネジメント(東京都中央区)が行う。東京メトロ有楽町線「豊洲」駅直結に加え、羽田空港や成田空港まで繋がるリムジンバスや、都営バスの乗り場が計画地の隣地にあるなど、交通利便性に優れた立地。周辺には、豊洲市場など国内外で人気の観光スポットもある。近年、豊洲に本社機能を構える企業も増え、ビジネスでの利用も伸びると予測される。
 客室はダブルやツイン、トリプルなど、ビジネス利用から連泊利用まで幅広く対応。東京タワーやレインボーブリッジの夜景を楽しむことができる客室も設けられている。36階・地上約165mに位置するロビーや、海側に面した大浴場、33階にある中庭などの共用スペースでは、高層からの展望を活かした非日常空間を演出。都心にありながら、海と空が広がる開放感を味わうことができる。また、豊洲市場の食材を使用し、素材の旨味を生かした料理を提供するイタリアンレストランも出店を予定。滞在する楽しさが広がるホテルとなる。
 5~8階には、東京ガス(東京都港区)と三井不動産が共同で設立した三井不動産TGスマートエナジー(東京都中央区)が運営するエネルギーセンターが設置される。開発区域のみならず、開発区域外もエネルギー供給対象とする。東日本大震災でも損傷を受けず供給を継続した実績を持つ中圧ガスを使って発電。系統電力の供給停止時においても、一定の電気と熱の供給が可能となる。加えて、備蓄オイルにより72時間分を発電する非常用発電機も装備するなど、企業の業務継続や帰宅困難者支援体制にも力を入れている。




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