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いちご投資顧問 「いちご乃木坂ビル」にワークスタイルオフィス バリューアップで坪3万円目指す

2019.12.23 14:43

 築古ビルのバリューアップに注目が集まる。バブル期に建てられたビルは築30年台。経年劣化はもとよりテナント側の時代のニーズともズレてくる。そのようなニーズのズレを修正し、トレンドに合ったオフィスを展開することを得意とするのが、いちごグループ。築古ビル再生術の好例だ。

 いちご投資顧問(東京都千代田区)はいちごオフィスリートがポートフォリオに組み込む「いちご乃木坂ビル」5階フロアのリニューアルを完了。18日、内覧会を開催した。
 同ビルの竣工は1983年。いちごオフィスリートが2018年12月に取得していた。築35年が経過していたことから、設備面やオフィス内装の更新時期に差し掛かっていた。5階フロアで退去が発生したのを機に、ビルリニューアルプロジェクトとして同フロアの改修を実施した。改修の実施事業者は乃村工藝社の関連会社のノムラプロダクツ(東京都港区)。
 リニューアルのポイントはどこか。いちご投資顧問オフィスリート本部アセットマネジメント部担当部長の太田伸之氏に聞いてみた。オフィスのコンセプトとして据えるのは「緑豊かな地で、新たなワークスタイルを提案する」。乃木希典将軍の邸宅が隣接。青山・六本木の中間に位置するが、自然が残るエリア。植栽が豊富なルーフテラスも活用する。
 会議室となる部屋は3部屋区画を設けた。ガラスパーテーションを用いて、視線や空間の広がりを確保する。また植栽や自然が一望できる窓際にはフリーアドレスカウンターも設置。近年多様化する働き方に対応するつくりとなっている。
 また、あわせてトイレを増設した。共用部含めて90坪あるフロアだが、リニューアル前は「女性トイレは給湯室の奥にあり、個室が1部屋しかないような状況でした」と話す。今回のリニューアルで女性トイレの個室を3室に増設した。男性トイレも移設した上でリニューアルした。 
 太田氏によると「周辺は開発も少なく、テナントの入れ替わりも少ない」という。賃料も高くて坪2万円ほどだ。今回のバリューアップで「坪2万円台後半、3万円の大台を目指していきたい」と意気込む。
 また2月末完成予定でエントランスの改修工事も行う。エリア特性にも合わせて、和の文様を全面に出した光壁を設置する。
 「建物の構造はしっかりしています。ここに当社がこれまで培ってきたノウハウを組み込むことで、最新のニーズに応えられるオフィスとして提供していきます」(太田氏)
 すでに引き合いも来ているようで、年明け早々には成約しそうだ。




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