不動産トピックス

ホテル運営会社次の一手を探る

2020.01.14 11:41

リア・テクノロジーズ 特区民泊制度活用した宿泊施設大阪に 最新IoT機器導入も

レジデンシャルタイプ「ボンコンド梅田ノース」
 レジデンシャルホテルなどの運営事業を展開するREAH Technologies(リア・テクノロジーズ 東京都港区)では12月1日、特区民泊制度を活用したレジデンシャルホテル仕様の宿泊施設「BON Condo Umeda North(ボンコンド梅田ノース)」を大阪北区にオープンさせた。
 同施設は、大阪メトロ御堂筋線「中津」駅から徒歩2分。ファッションやアートなど、最先端のトレンドを発信し続ける“大阪の玄関口”北区にあり、大阪にも新大阪にも移動しやすい場祖に位置する。客室は2タイプ52室、定員234名。最大定員4名の客室と同5名の客室それぞれ26室ずつ用意する。
 最新のテクノロジーを活用し、宿泊客に“暮らすように旅する”滞在スタイルを提供する独自ブランドBon(ボン)シリーズの5棟目となる。
 無人チェックインシステムやスマートロックなど、最新のIoTを採用し、運用コストの大幅な削減を実現した。また、客室は、バス・トイレ別、キッチン・洗濯機も全室に備えており、グループや家族連れによる長期滞在を中心に、多様なスタイルに応じた滞在が可能となっている。年々増加するインバウンド旅行客需要をはじめとした、国内外からの観光客のニーズの獲得を目指していきたいという。
 同社は、マンション型の一棟まるごと民泊、フロント機能付きでスタッフ常駐のミニホテル、ゲスト同士が交流できるホステル・ゲストハウスまで多様な施設を展開。これまでに東京・大阪・京都での実績を持つ。
遊休活用の一環として新築時利回り8%維持
 主に遊休地活用の一環として提案していくもので、その立地や形状、大きさにあった宿泊施設を企画する。橋野社長はもともと金融業界出身のため、不動産・金融の見地からアドバイスできるのが強みだ。新築時で利回り8%を維持できるようにする。
 同社は、2018年11月1日付けで合法民泊ビジネスを展開している百戦錬磨の施設運営事業が分社化、独立して誕生した。インバウンド特化型のホテル・ホステル・合法民泊の企画・運営やその他のオルタナティブ・ロッジングの分野を舞台として、今後中長期的に成長が見込まれる訪日外国人旅行者に対して、新たな宿泊の選択肢を提供していく計画だ。
 「一方、それらの舞台をご提供いただく不動産オーナー様の収益最大化に努めてより多くの方々に安心かつ魅力的な投資機会をご提供できるよう、両輪でのサービス開発を進めて市場全体の活性化に貢献していきたいと考えています」(橋野宜恭社長)。

ワシントンホテル 「R&Bホテル」年内2棟をオープン 1万室体制へ
 ワシントンホテル(愛知県名古屋市)では、新規出店を積極的に進めている。3月に「R&Bホテル仙台東口」195室、12月には「R&Bホテル名古屋駅前」をオープンさせる計画だ。現在の客室数は、9100室で1棟当たりの平均客室数は200室前後。「今後年間1~2店舗のペースで中核都市に出店していき、2022年までに1万室を目指していきたいと考えています」(内田和夫社長)という。
 同社は、「ワシントンホテルプラザ」と「R&Bホテル」の2ブランドを展開しているが、近年は「R&Bホテル」を中心に新規出店を推進。主力の「R&Bホテル」は客室がシングル中心で9㎡と、「他のビジネスホテルよりも狭く、1㎡当たりの収益性が高いのが特徴です」(内田社長)。
 一方、「ワシントンホテルプラザ」は、老朽化が進んでいる物件が多いため、1棟当たり数億円かけて大幅に改装していく。もちろん、これまでも壁紙やカーペットの交換など一部改修を順次行ってきたが、水回りや空調、部屋のレイアウトを含めた大規模なものになるという。
 地主に建物を建ててもらい、賃料を支払うマスターリース型が基本。一部は自社所有しているものもあるが、今後もよほど好立地で収益性の高いものでなければ手を出さない考え。
 2015年からは「宿泊ネット」というウェブによる独立系ホテルの会員組織によって、集客力向上を図っている。会員数は25万人ほどで、年間販売数は約60万室、リピーター比率は60%を超える。
 同社は「宿泊特化型」ホテル運営専業として、全国で「ワシントンプラザ」18棟、「R&Bホテル」24棟、「名古屋国際ホテル」1棟の合計43棟を展開している。

Moving Inn 「絶景に泊まる」新サービス開始
 Moving Inn(帯広事務所・北海道帯広市)はこのほど、北海道十勝エリアで、オリジナルキャンピングカーレンタルとエリアガイドを提供することで「絶景に泊まる」新サービスの提供を開始した。
 景勝地や温泉、飲食店やアクティビティなどを紹介するコンシェルジュサービスを合わせて提供することで、不慣れな場所でもその土地ならではの体験を提供する。あらゆる場所で宿泊することができる「車で旅して地球を遊ぶ」新しい旅の形を提案していく。
 同社は、ランドクルーザーやハイエースなどのカスタム・販売を手がけるフレックス(東京都港区)と、小山薫堂氏率いる企画会社 オレンジ・アンド・パートナーズ(同)により設立された。
 レンタカーとともに、車両を使ったロードトリップ(地域周遊・滞在)をサポートするため、コンシェルジュサービスを提供。利用者は予約前に要望を伝えることで、おすすめの絶景スポットや飲食店、温泉、アクティビティなどの紹介を受けることができる。車内にはコンシェルジュへ連絡が取れるタブレット端末が備え付けられており、旅行中の悩みにも即時対応する。また、キャンプ道具の無料貸出も行っているため、快適な車中泊のほか、手ぶらで自然を楽しむテント泊まで、希望に応じた滞在スタイルで旅を楽むことができる。

TradFit インバウンド客対象システム開発
 宿泊施設特化型AIスピーカー・チャットコンシェルジュサービスを運営するTradFit(東京都中央区)では、ソニーマーケティングジャパン(東京都品川区)と連携し、訪日旅行者を中心とした宿泊者に対するシステムを新規開発した。 これはソニーの法人向け4Kテレビブラビアと、スマートスピーカーとの連携を図るもので、TradFitは、このシステムを利用して、音声機能によりテレビや客室内設備を便利にコントロールできる新たな宿泊施設、宿泊者向けサービスを提供する。
日本語・英語の二か国語に対応したスマートスピーカーを通した音声コントロールを使って、ブラビアでネット動画を起動したり、スマートフォンからのキャストを実行したりすることができるようになる。
 同社は、このサービスを11月15日に福岡県博多にオープンした「ホテル MEI」50室へ導入した。これにより、訪日外国人旅行者の客室での滞在時間の価値向上が見込めるほか、宿泊施設経営者としては収益性改善、インバウンド顧客への言語の課題や人手不足、離職率の高さ、ワークライフバランス向上による宿泊施設運営の懸念を軽減、また、宿泊者の宿泊体験価値の向上の一助としていきたいという。
 同社は今後、照明、カーテン、エアコンなどの客室内設備のコントロールができるIoT機能も開発していく予定だ。 
 TradFitは「あなたの声で暮らしを豊かに」、「人、地域、文化、世界を繋ぎ、日本を観光立国へ」をテーマに、国内各地域の地域活性化、地方創生を目指す。AIスピーカー向けアプリケーション開発、独自開発のチャットボット、それらに紐づいた独自開発の管理画面を活用した宿泊業界特化の更なる収益性改善・顧客満足度向上のためのソフトウェア開発を行っている。 

GEN HOSTEL ムスリム観光客対応の簡易宿所
 GEN HOSTEL(東京都立川市)では12月、東京都小金井市でホステル「Wild Cherry Blossom HOSTEL,TOKYO KOGANEI」を開業させた。
 同施設は、「多摩地域の人・自然・歴史・文化のリアルな体験に触れ、新しい東京の魅力を発見してもらうこと」をコンセプトにした地域密着型の簡易宿泊施設。  地上7階で1階にテナント、2階にフロント・共用ラウンジを配置、3階から7階が客室で、ベッド数は1名利用の半個室タイプ80ベッド、完全個室の2人部屋の5室、3人部屋5室、4人部屋5室の合計125ベッド。
 2階に設けるラウンジは、利用者が自由に過ごせる場所と、様々なイベントを企画できる機能を持ったスペースを共存させた。多国籍スタッフら自身の手によって、世界中の旅行者たちの交流、日本文化体験イベントの他、近隣の多摩広域観光圏で活躍する様々なコミュニティのセミナーやワークショップなどを企画、実行していく予定だ。内装は、シンプルなデザインをベースに、日本古来の美しい色と伝統模様を随所に織り込み、感覚・体感による訪日体験を表現する。
 ムスリムの観光客増加に伴い、ウドゥ(小浄)を備えた祈祷室を設置。安心した滞在環境の提供を行うと共に、多国籍で構成するスタッフにとっても働きやすい環境を考慮致した。
 同社は、ホステル事業を通じ、多摩地域の魅力をゲスト、スタッフ、地域コミュニティと共に自由に表現、発信していこうという考えのもと、2018年1月に設立された。

マツリ・テクノロジーズ 「民泊×マンスリー」オープン
 住宅宿泊業界で国内最大級の登録物件数を有する運営管理ソフトウェア「m2m Systems」を展開するmatsuri technologies(東京都新宿区)は、新たに東京・豊島区でマンション一棟での「民泊×マンスリー」によるハイブリッド住宅宿泊事業の運営を開始した。
 同施設は、居室数14室で、複数のコンセプトルームを用意する。 
 同社は、不動産テックカンパニー。新しい不動産管理・運用の世界を目指し、様々なサービスを展開し事業拡大を続けている。2018年6月に民泊新法が施行され、市場が加速度的に拡大し健全化されていく民泊業界の中でも、これまでの事業ノウハウや知見を活かし、様々な形でより価値あるサービスの展開を目指していく。




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