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デベロッパー各社年頭所感発表 2020年は繁栄と準備の年に

2020.01.14 12:04

 大手不動産デベロッパー各社が年頭所感を発表した。
 東京のオフィス街ではこの間の大規模再開発で大量供給が続いている。各社それぞれの大規模プロジェクトに触れ、今年竣工を予定するビルのリーシング活動の好調ぶりの様相をうかがわせた。
 三菱地所(東京都千代田区)の吉田淳一社長は「昨年竣工を迎えた『リンクスクエア新宿』や本年1月に竣工予定の『コモレ四谷』の好調な新規貸付に、引き続き良好なマーケット環境を取り込んでいきたい」とした。
 今年最大のトピックである「五輪」。現在のマーケット環境は良好だが、気は引き締める見方も聞かれた。東急不動産ホールディングス(東京都渋谷区)の大隈郁仁社長は「楽観視できない部分」もあると前置きをした上で、「不動産業界においては低金利の継続、住宅ローン減税等の政策的支援などに支えられ、都市中心部の利便性の高い地域を中心に住宅やオフィス、ホテルなどの需要は堅調に推移している。しばらくこの不動産市場の堅調さは続くだろうとみている」と述べた。日本土地建物(東京都千代田区)の平松哲郎社長は引き続き環境が良いことを指摘しつつも、「東京五輪後の反落、米中貿易摩擦を背景とした輸出減速や設備投資の手控えなど懸念材料も多く、楽観はできない」と語った。
 そうした一方で、2020年代に向けて新しい挑戦も掲げられた。三菱地所は直近の新規物件の竣工に加えて、「2020年代の成長に向けて、『東京駅前常盤橋プロジェクト』に加え『有楽町エリア』のまちづくりにも精力的に取り組みたい」とする。東急不動産HDは「ハコやモノの枠を超えて、ライフスタイルを創造・提案する企業グループを目指すステージを加速・強化させていく」という方向を示した。また日本土地建物は今年4月1日に中央不動産と経営統合して、「中央日本土地建物グループ」としてスタートを切る。
 投資格言を借りると「子は繁栄」。様々な懸念はあるが「五輪」は2020年の不動産業界を彩りそうだ。一方で2021年の丑年の格言は「丑はつまずき」。つまずいて聖火を消さないためにも準備の年にもなりそうである。




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