週刊ビル経営・今週の注目記事
毎週月曜日更新
空き家・空室のシェアリングビジネス 若年層の利用多い「あけぼのハウス」
2020.03.23 16:31
入居者の確保・定着が難しく、長年未活用のままの「空き家」や「空室」の物件は非常に多い。その際に有効な活用方法として思案されるのがレンタルスペース。今回は少人数で集まり、賑やかに楽しめる手軽なレンタルビジネスに焦点を当てた。
庭付き平屋の日本家屋レンタルスペースに
2018年4月設立のリルーク(東京都新宿区)は、不動産の売買・仲介業やオンライン上での不動産のスピード買取、また空き家を有効活用したレンタルスペースの運営事業を展開する。
同年末頃から始めたレンタルスペースは、既存の平屋で空き家の物件や借り手のいないアパートの空室をスペースのシェアリングビジネスとして運用する。第一弾は都営大江戸線「西新宿五丁目」駅から徒歩4分に位置する「ひらやないえ」。料亭・旅館のような広々とした庭付き平屋の日本家屋をレンタルスペースに変え、撮影会や会議・ミーティングなどの打ち合わせ、パーティ、イベント等々の需要に応えたかたちだ。日本庭園や駐車場もある、和室8畳の2部屋含む大型4DKとロフト付きの一戸建て。キッチンやネット光回線も充実・完備しているため、研修や食事会も兼ねた交流会イベントにも利用できる。
代表取締役の和賀林太郎氏は「最初の『ひらやないえ』、2拠点目の『おおまどハウス』と続き、1月中頃には都営地下鉄『曙橋』駅から徒歩1分圏内に3拠点目の『あけぼのハウス』を開設しました。『あけぼのハウス』は、10名前後で集まってのパーティやイベント等々に利用されており、昨今は女子会やママ会、コスプレのオフ会などの利用が多いです。また、ボードゲーム大会や動画配信でのレンタル需要も増えており、これら需要は1拠点目の開設から年々高まっている傾向です」と語る。
ヨギボーやこたつ設置 気心知れた友人と堪能
特に「あけぼのハウス」の利用者は比較的若年層が多く、学生や20代・30代のワーカーが目立つ。そもそも、気心知れた友人たちと賑やかに楽しめる環境はこれまで在るようでなかった。その需要に応えた事例であり、かつ同社もそれら反響を想定して、アメリカのビーズソファ「ヨギボー」の導入やこたつの設置、また8~10名が座れる大型テーブルやプロジェクターも取り付けた。仕切りのない約40㎡のスペースは、多く見積もっても10~15人ほどの利用が可能。夕方~翌朝まで借りることもできる。
現状、そして今後も不動産業界における大きな課題の「空き家」。保有物件の再生方法や活用法に悩む不動産オーナーも多い。その様なオーナーに向けた参考事例になるであろう。和賀氏は「室内の魅力を高めれば、利用者からの反響は大きいと感じております。立地エリアの特性と需要、マーケット感などをしっかりと掴んで室内を構成すれば、稼動状況も自然と安定してきます。職場や自宅以外で人が集まるサードプレイスになれば」と語る。
今後も積極的に拠点数を増やしていく方針の和賀氏。現状新宿区に3拠点だが、今後は他エリアにも拡大を目指す。