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三菱地所 初の「病院不動産」開発へ
2020.04.20 17:04
三菱地所(東京都千代田区)は、同社初の病院不動産開発事業となる「(仮称)札幌南徳洲会病院建替計画」に伴う病院施設の新築工事に着手した。2021年5月の竣工を予定している。
計画は、医療法人徳洲会(大阪市北区)が所有・運営している「札幌南徳洲会病院」(札幌市清田区)の建替え。現病院の診察・入院機能を継続しながら建替えを行うため、現病院からも近い札幌市清田区平岡に用地を確保し、新たに病院施設を建設してから移転する。竣工後は三菱地所が病院施設を保有して徳洲会に賃貸し、徳洲会は2021年夏頃に新しい「札幌南徳洲会病院」として運営を開始する予定。
開発計画では敷地面積1万105㎡、延床面積7180㎡、鉄筋コンクリート造、一部鉄骨造、地上2階地下1階の病院施設を建設する。
新病院は北海道の風土に配慮したサンルームのある病室、情報交換の場などを想定したカフェや、医療知識を深める場として多目的ホール等を完備。病床数は88で、うち48床が一般、40床がホスピスとなる。
病院の建替えは一般的に、建替え資金の確保や開発に係る各種協議など多大な手間や時間がかかる。こうしたことから築年の経過した病院の建替え・機能更新が進まず、社会的な課題とされている。三菱地所の手法は、病院施設移転先の土地を購入または医療機関所有の土地を賃借し、新築建物を建設。医療機関は三菱地所が新築した建物を賃借し、病院運営を実施するというもの。開発に係る各種協議をデベロッパーが担うことで、医療機関は医療に集中できるほか、初期投資の軽減を可能にし、老朽化した病院の機能更新の負担を軽減させる。
三菱地所では所有する病院施設について、将来的には医療法人による買い戻しや、ヘルスケアリート・ファンドなど病院不動産の専門的アセットマネジメントが可能な運営先に売却を検討するなど、収益用不動産としての運用も目指す。