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竹中工務店 長周期地震動による建物被害額を評価するシステムを開発
2013.10.28 11:59
竹中工務店(大阪市中央区)は、超高層ビルなどの鉄骨造建物を対象に、長周期地震動による二次部材や各種設備等を含む建物本体の被害額(復旧費用)を推定するシミュレーションシステムを開発した。同システムを活用して算出した想定被害額を既存建物の耐震補強や新築時の構造設計に反映することで、建物被害を軽減させると同時に、不動産価値の低下を防ぐことができる。
一般的には建物被害額や予想最大損失率(PML)を算出する際、長周期地震動は考慮されていなかったが、東日本大震災を受けて、長周期地震動による被害予測とそれに基づく対策が求められている。同システムを活用することで躯体に加え、システム天井等の二次部材や空調設備等を含む被害まで予測し、より正確な被害額とPMLを算出することが可能になった。また、基本的には既存建物への適用を目的としているが、設計初期段階に同システムを活用することで、設計計画に反映することができる。同社の設計プロジェクトを対象に有償でシステム提供を行う予定だ。すでに、東京・内幸町にある「飯野ビルディング」で適用されているという。
同システムでは、(1)想定地震を設定、(2)長周期地震動データの作り込み、(3)建物の3次元地震対応解析、(4)部材の損傷評価、(5)最大損失率の算定、(6)対象効果の検証といった6段階の手順によって高い精度で建物の損傷を評価し、被害額を推定することが可能となる。