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JR東日本ステーションリテイリング 歴史的な高架橋を商業店舗に再利用
2013.07.22 16:47
神田須田町エリアの活性化の起爆剤となる新たな商業施設が9月14日に開業する。
JR東日本ステーションリテイリング(東京都港区)は、東日本鉄道文化財団(東京都渋谷区)と共に、万世橋高架橋で開発を進めてきた商業施設の名称を「mAAch ecute 神田万世橋(マーチ エキュート カンダマンセイバシ)」に決定。7月19日、開業を前に報道各社に施設内を公開した。
「万世橋」駅は明治45年に開業。現在の中央線「神田」駅~「御茶ノ水」駅間に位置し、昭和10年には鉄道博物館(後の交通博物館)が同地に移転してきた。その後、同館が「鉄道博物館」としてさいたま市に移転することが決定した平成18年に閉館したため、レンガ積みの「万世橋」駅ホームや階段遺構を活用した商業施設の整備が行われてきた。
同施設への入居テナントは飲食・物販を中心に11店舗で構成。アーチ状になった高架下1階部分に商業施設を配し、2階部分にはガラス張りの屋外テラスと展望カフェを設置する。両側をJR中央線が行き来する光景が望め圧巻だ。また、神田川に隣接する関係から、神田川に面して親水デッキが設けられ景観向上も視野に入れている。
施設内には駅の遺構も数多く現存しており、「万世橋」駅開業当時に建設された会談は約70年ぶりに一般公開する他、初代「万世橋」駅舎、2代目駅舎、鉄道博物館の3つの建物を支え続けてきた基礎部分の一部を「遺構サークル」として公開している。
同施設は今年1月に竣工した「JR神田万世橋ビル」に隣接。施設運営事業者は異なるが、商業・オフィス一体型の拠点が誕生することになり、それまで回遊性に乏しかった御茶ノ水~秋葉原を結ぶ交流拠点としての機能を期待されている。同施設を運営するJR東日本ステーションリテイリングの三井剛代表取締役社長が「地域の方のご意見を参考にしながら、施設運営を進めていく」と話すように、7月22日~8月18日にかけてビアガーデンを期間限定で開設するなど地域活性化に向けた取り組みも強化していく予定だ。
今年4月に開業した「御茶ノ水ソラシティ」や「ワテラス」と合わせて、神田須田町・淡路町の活性化に一役買ってくれそうだ。