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COLORS 創業9年で売上高100億円突破
2018.08.06 16:29
社員ひとりひとりの個性を事業成長につなげる
貯蓄から資産運用への流れができあがりつつなる。そのなかで不動産投資の有効な選択肢のひとつ。人口減少期にあるなかでも入居者をつけられる、そのような骨太な物件に出会いたい。COLORSでは投資用マンション開発事業者として先駆的な物件の開発を進めている。根本にあるのは「社員第一主義」だ。
「十人十色」を社名に込めて創業より続ける「社員第一主義」
資産運用の必要性が指摘されるなかで、不動産投資を始める層も増えている。これらの層をどのように取り込んでいくか、投資用不動産販売会社にとって課題となっている。
そのなかで投資用不動産開発・売買から管理まで行うCOLORS(東京都千代田区)は2017年度の売上高が100億円突破したことを発表した。創業から年目での達成となった。不動産投資への注目が集まるなかで、その追い風に乗っている。
代表取締役の小島貴寿氏はもともと投資用不動産販売会社出身。営業マンとして青年時代を過ごしていた。「個人の成績を厳しく追求される環境でした」と振り返る。周りの社員も日を追うごとに退職していくなかで、「人材育成に注力することはできないのか」、「数字としての結果だけでなく、その過程や人格を評価することはできないのか」と疑問を覚えたという。
転機が訪れたのは2社目の投資用不動産販売会社だった。2008年のリーマンショックの煽りを受けて勤め先の企業が倒産。管理物件なども多くあるなかで、後継の管理会社が問題となった。「クライアントに迷惑をかけるわけにはいかない」と考えた小島氏は同僚とともに起業。COLORSの誕生となった
働きやすい環境を実現 企業風土を生かし開発へ
COLORS創業と同時に取り組んだのは先の「社員第一主義」だった。
「営業向きの人もいれば、そうでない人ももちろんいます。それぞれの個性と特長を生かしていくことが継続発展的に事業を展開していく上で最重要だと考えました」(小島氏)
この姿勢は物件開発でも生かされていくことになる。同社の開発するマンションは東京23区内に立地し、ミドルアッパー層以上の入居者を主なターゲットに据える。そのなかで意識してきたのは「自分が住みたくなるマンション、自分がほしくなるマンションを作ろう」ということだった。
実際にどのようなマンションをこれまで供給してきたか。その一端を小島氏が紹介してくれた。
「当社のマンションはワンルームがほとんどです。そのような物件に床暖房完備や屋上ドッグランの設置など、新しい取り組みを行ってきました」
これまでにない価値を付加した挑戦的な物件。それでもこれらの挑戦は大成功。入居者からの人気は高く、投資家からも強い注目を集めた。今では増えてきたものの、フリーWi―Fiや浴室テレビも同社がいち早く取り組んでいる。
「個性を大切にする社風だからこそ、このような挑戦が可能だったと言えます」(小島氏)
個性を強化する取り組みも更なる成長に向けアクセル
これらの開発も寄与して9年で売上高100億円に達したCOLORS。すでに更なる成長加速に向けたアクセルを踏み出している。
その試みが「お客様フォロー情熱委員会」と「物件ブランディング委員会」の立ち上げだ。前者は名前の通り、入居者や投資家といったクライアントの満足度を向上させることを目的とする。具体的にはアンケートを実施してニーズに応えていくとともに、きめ細かいアフターフォローも行っていくという。
「物件ブランディング委員会」ではこれまでの特長の強い物件開発を押し進めるべく、社員全員で物件アイディアを出し、検討・開発していくものだ。「社員にもどのような物件に住んでみたいかを常に考えるよう意識してもらっています」とは小島氏。自分のアイディアが採用されれば、更なる働く意欲の向上につながりそうだ。
小島氏は足もとの市況を「好調を維持していて、今のところ下がる要因は見当たらない」と話す。国外の要因は注視するものの、現状は投資家に分がある状況と見ている。
小島氏は現在の追い風を背にさらに事業を拡大していく考えだ。
市況は好調を維持 資産運用のパートナーに
「国内での投資用不動産の開発はもちろんのこと、現在は海外での不動産運用にもニーズが高まっている。当社としてもこのニーズを拾っていきたい」
不動産業界の成長企業。新たな「ユニコーン」の誕生となるかもしれない。