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港区 事業所向けの省エネセミナーを全6回実施 省エネ化を達成したビル事業者が講師を務める

2013.07.15 17:05

 東日本大震災以降、節電・省エネ意識の高まりを受けて、積極的に省エネ対策に取り組む事業所が増えている。ビル業界では特に新築大規模ビルの大半は最先端の環境性能を備えており、いまや環境配慮型ビルがトレンドだ。
 一方、膨大なストックを有する既存ビルでは、思ったほど省エネ対策が進んでおらず、低炭素社会の実現には、既存ストックの低炭素化が喫緊の課題となっている。都内主要オフィスエリアの一角、港区の場合、中小事業所のCO2排出量は全体の7割を占めているのが現状だ。
 こうした状況に対して、港区では区内事業者の省エネに対する意識の啓蒙と、より具体的かつ効率的に省エネに取り組んでもらおうと、事業者向けの省エネセミナーを実施。今年は7月8日~8月1日まで計6回のセミナーを実施する予定だ。毎回、エネルギー管理の専門家や、様々な工夫で省エネ化を達成した民間企業の担当者が講師を務め、省エネ・節電対策として実際に行なった手法を解説する。
 7月11日に港区立エコプラザにて開催されたセミナー講演では、第一部では、第一生命(東京都千代田区)の総務部部長を務める大野晃敬氏が「節電及び省エネ・コスト削減への取り組み」と題し、同社が所有する投資用・営業用不動産にて実施した省エネ・節電対策について解説。膨大な数のテナントビルを所有する観点から、ファシリティコストを横串しで把握することが重要であると述べた。
 第二部には、郵船不動産(東京都中央区)の天王洲チームマネージャー、瀧本剛樹氏による「テナントとの協働(WIN―WIN)節電とは」をテーマに、所有テナントビルで実施した独自の省エネ・節電対策を中心に解説。大震災後、共用部を節電したことで浮いた電気代をテナントに還元するという取り組みが話題になったが、テナントとの良好な関係性を構築することを主眼に置いたビル経営を実践する同社ならではの省エネ対策といえる。さらに省エネ・節電対策だけでなく、同社がテナントリレーションシップを構築する独自の取り組みまで紹介した。
 次回は7月23日に芝浦港南区民センターで開催。講師はクールネット東京技術専門委員の常慶隆一氏、キヤノンマーケティングジャパン総合企画本部の斉藤金弥氏が講師を務める。




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