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ビルマニアカフェ 今、高度成長期のビルが熱い!イベントなどで魅力を発信し活性化へ
2013.07.08 17:04
1950~70年代の高度成長期に建てられたビルの価値を再評価する活動が、大阪で続けられている。
天神西町に立地する昭和48年竣工のビル「大阪ニット会館」に拠点を置く「ビルマニアカフェ」は、関西を拠点に活動する5人のグループだ。年齢も経歴もまちまちな5人に共通するのは、「ビルへの愛」だろう。結成のいきさつについて、代表の建築家・高岡伸一氏は「戦前のビルなどは歴史的な価値も認められているものが多くありますが、高度成長期に建てられたビルは、築年数が経過した競争力の劣った物件として判断されてしまうことが少なくありません。しかし当時のビルには造作やデザインなど、現在では再現が難しい独特の魅力もあるのです」と話す。こうしたビルの魅力を発信するために、ビルマニアカフェが活動を開始したのは平成20年のことだ。
同会の活動としてまず挙げられるのが、ビル内でのイベントだ。平成20年には、昭和32年竣工の「西谷ビル」で初のイベントを開催。期間限定のカフェやショップの出店、トークショー、館内見学ツアーなど、一般の人々に来館してもらい、当時のビルの良さを知ってもらおうという試みは成功裏に終わり、以後は同様のイベントを関西各地のビルで開催している。また当時のビルの魅力を伝える新聞連載の執筆や、毎号1棟のビルを取り上げてその価値を再発見する冊子「月刊ビル」の発行、さらに平成24年には同会の集大成ともいえる「いいビルの写真集west」を上梓した。しかしメンバーたちはこれまでに行った数々の活動を「趣味の範疇」と言い切り、むしろビジネス化していないことに誇りを感じているかのようだ。こうした活動を行っているのが「プロ」ではなく「一般人」であるところに、ビルの価値を「一般化」させるための道筋があるのかも知れない。
活動の成果も出始めている。高度成長期のビルに魅力を感じる、自身も入居したいなど、当時のビルに価値を見出している層は確実に増加している。なによりも、これまで価値に気付いていなかったオーナーが、自身のビルを見る目が変わってきているという。価値の無いビルなどない。ありふれたビルにこそ、磨けば光る原石はある。同会の活動は、新築偏重ともいえる今日の不動産市場に対して投じられた一石といっていいだろう。