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コロナ対策に3D空間認識技術で混雑度合いを検出 AIを活用「ソーシャルディスタンスカメラ」

2020.06.22 17:19

 新型コロナウイルスの感染予防策として、人との距離を一定の間隔で保つことは重要だ。だが場所や施設によっては難しいケースがあり、店舗によっては混雑時の見極めなども難点である。そんな中、店舗側と利用客の双方に適したソーシャルディスタンスに役立つサービスが登場。既存の防犯カメラを活用することもできる。

 アースアイズ(東京都港区)と日商エレクトロニクス(東京都千代田区)は、AIを活用した「ソーシャルディスタンスカメラ」を先月11日から販売開始した。日商エレクトロニクスが主に国内外の販売事業を担当。アースアイズは主に企画・開発を担当し、直接販売も行う。
 「ソーシャルディスタンスカメラ」は、3D空間認識技術により映像内の人数や人と人との距離を認識。混雑度合いを検出し、ユーザー・利用者のスマートフォンなどから混雑具合を画像で確認できるサービス。利用者は施設内の混雑状況をリアルタイムで把握できるため、ソーシャルディスタンスの確保と空いた時間の来店ができる。導入する店舗も混雑の緩和や「3密」を防ぐ取り組みを来店者へアピールできる。AI処理により人の映像はいわゆる「棒人間」で映るため、プライバシーの保護も確保した。導入を検討する店舗、問い合わせは様々で、現状スーパーマーケットやドラッグストアをはじめ、コンビニエンスストア、商店街、ショッピングモール、観光地、小売店、介護・老人ホームでも検討されている。
 アースアイズの代表取締役・山内三郎氏は「導入する店舗側の契約プランとして、市販の防犯・監視カメラを活用するオンプレミス(ローカルサーバー)タイプと、専用カメラを活用したクラウドタイプの2種類を用意しました。専用カメラは1台7万8000円(税抜)からで、サービスの利用そのものは別途月額料金が発生します。一方のオンプレミスタイプは、個々の設置環境やカメラ性能によって金額は変わります。設置・導入への手間を考慮するなら、専用カメラを取り付ける場合が早く済みます」とアドバイスする。
 また山内氏は、300坪程度の店舗や施設での設置イメージも紹介。メイン通路の3カ所に同カメラを設置すると、人と人との間隔データをAIで解析。ホームページや施設責任者のスマートフォンに密集状況を通知する。「どの通路の、どの時間帯で最も人通りが多いのか。適切な距離が保てない場所はどこか」などを把握できるため、店側も通知後直ぐの対処に活用できる。出入口で人数をカウントするカメラと連動すれば、混雑時間の把握も更に容易となる。
 山内氏は「スーパーマーケットやショッピングモールなどは、既に既存の防犯カメラを設置されているケースが多いと思います。大型店舗では既存カメラを活用したオンプレミスタイプの利用が多くなるでしょう。一方個人経営のお店など小規模店舗等の場合は、専用カメラの購入が早くて便利です。店舗形態や陳列棚の配置、天井高など、様々な条件によって必要台数は異なりますが、広い大規模店舗等であれば、カメラの台数を増すだけで対応可能です。どこに設置したほうが良いのか、当社はプランニングも提供しています」と語る。




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