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三菱地所など7社が出資 建築用木材事業の新会社が設立
2020.08.03 15:48
三菱地所(東京都千代田区)は7月27日、建築用木材の生産から流通・施工・販売までの統合型ビジネスモデルを構築する新会社MEC Industry(鹿児島県霧島市)を設立したと発表した。
MEC Industryには三菱地所の他、竹中工務店(大阪市中央区)、大豊建設(東京都中央区)、松尾建設(佐賀県佐賀市)、南国殖産(鹿児島県鹿児島市)、ケンテック(東京都千代田区)、山佐木材(鹿児島県肝属郡)といった木材活用に取り組む企業が出資。それぞれの強みを駆使することで製造から販売までのフローを統合し、中間コストを抑制したビジネスモデルの確立をめざす。
具体的には、「新建材事業」と「木プレファブリック事業」の2つの事業を推進する。
「新建材事業」では、RC造・S造で使われる「木」の新建材を開発・供給する。2021年4月には三菱地所とケンテックが共同開発し、特許出願済みの新しい型枠材「(仮称)配筋付型枠」を発売予定。通常廃材となる型枠材をそのまま内装(天井)の仕上げ材として利用し、デザイン性を高めながら施工負担を軽減する。三菱地所が札幌市で建設中のホテル「(仮称)大通西11丁目プロジェクト」の客室(3~7階)天井部に採用する計画で、2021年夏の竣工・同年秋の開業を予定している。
一方の「木プレファブリック事業」では、CLTパネルや集成材を用いてあらかじめ工場で作った高品質で低価格の規格型商品を開発・供給する。施工をシンプルにすることで建築現場の負担を減らし工期も短縮。100㎡の平屋戸建てを1000万円未満の価格で供給できるという。
今年8月には自社生産拠点となる新工場(鹿児島県湧水町)建設に着手し、2021年4月に製造機能を部分稼働、2022年4月の工場操業を予定している。生産ラインで鹿児島県・宮崎県・熊本県の国産材を使用することにより、木材需要の拡大を通じた森林の循環・林業の活性化にも寄与する。
MEC Industryは、これらの事業を通じて国内における建設業界や林業の課題解決にも貢献していく考えで、会社設立から10年で売上100億円を目指している。