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ジェイアール東日本ビルディング 「地域共生」を視野に入れた貸し会議室が誕生 幅広い用途に対応可能な設備充実
2013.04.01 17:16
企業の経営の見直しやスリム化によって、会議室を廃止する企業が増える一方、貸会議室のニーズが高まっている。オフィスビルの空室を活用して貸会議室を開業するケースも多く、ビルの付加価値を高める取り組みとして認知されるようになってきた。
オフィスビル賃貸・管理を展開するジェイアール東日本ビルディング(東京都中央区)も平成19年5月から貸会議室事業に参入。今年4月1日から「JR神田万世橋ビル」に3カ所目となる貸会議室「ステーションコンファレンス万世橋」を開業した。
同施設は今年1月に竣工したばかりの「JR神田万世橋ビル」3階、4階に開設。3階は和紙や和傘を取り入れた「和モダン」のデザインを採用したカフェラウンジスペースが広がり、会議前後の待ち合いスペースだけでなく、展示会やパーティ、イベントスペースとしても利用可能だ。
貸会議室は、秋葉原に集積するIT企業やベンチャー企業に対応できるように、43㎡の小規模会議室をはじめ、利用頻度の高い90㎡の中規模貸室は可動間仕切りによって最大273㎡まで拡張可能。スクール形式で104席、シアター形式で304席まで対応できる。また、オーソドックスな貸室の他、幅広い用途に対応できるように、更衣室を併設したフローリングのスタジオルームやキッチンルーム、畳ルーム、防音壁を設置した貸室も用意している。
「スタジオルームは1面鏡張りになっており、ダンス教室を行える他、新入社員研修の実地研修にも利用できます。また、キッチンルームはシステムキッチン・食洗機、オーブンレンジ、手元を映すカメラや天吊り映像モニターも常設しているので、料理教室に対応しています」(齋藤氏)
また、同施設が他の貸会議室と異なる最大の特徴は、貸会議室機能だけでなく、幅広い用途を念頭におき、「地域共生」を視野に入れている点だ。
同社では施設の立地条件等に見合った用途・コンセプトを策定しており、例えば、同社貸会議室事業の第一号物件となった「ステーションコンファレンス東京」は、開設した「サピアタワー」に大学の機関や研究開発型の企業が集積している関係から、ビジネスシーンに特化したサポート機能が充実している。一方、「ステーションコンファレンス万世橋」はカフェラウンジを一般開放している他、千代田区の地域活性化や世代間交流等に寄与すると同社が判断した運営団体には貸室を特別価格で提供する「CHIYORA(千代楽)」という取り組みを実施するなど、オフィスワーカーだけでなく、地域住民に憩いの場を提供することも狙いとなっている。
また、JR東日本が主宰する50歳以上の会員組織「大人の休日倶楽部」は、カルチャースクール「趣味の会」をはじめとした講座やイベントを実施しており、同施設内に新たな「学びの拠点」を開設する。「大人の休日『ステーションコンファレンス万世橋』教室」では、「ビューティフルフラ講座」、「古典・近代化文学講座」などの講座を順次開講していく予定だ。
「『JR神田万世橋ビル』は長年大勢の方に訪れていただいた『交通博物館』の跡地に位置する関係から、地域交流の場として自由に気持ちよくご利用いただける施設運営を目指していきます」(齋藤氏)