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築56年の「秀和青山レジデンス」建替えへ
2020.09.23 14:01
渋谷区初の「容積率の特例緩和制度」を利用 8階建ての分譲マンションを26階建てに再生
野村不動産(東京都新宿区)と旭化成不動産レジデンス(東京都千代田区)は16日、東京都渋谷区にて推進中の「秀和青山レジデンス」マンション建替組合設立について、渋谷区の認可を受けマンション建替組合が設立されたと発表した。
今回の建替事業では、渋谷区初の「マンション建替法に基づく容積率の特例緩和制度」を活用する。同制度は「除却の必要性に係る認定」(耐震性不足の認定)を受けたマンションの建替計画において、公開空地・地域防災・環境貢献などの総合的な配慮がなされ、市街地環境の整備改善に資するものについて容積率が緩和される制度。新たに誕生する「秀和青山レジデンス」では、十分な緑化を施した2つの広場状空地や歩道状空地(幅2・0m)を設け、地域の安全性や快適性、街並み整備に寄与する計画により本年1月20日に「マンション建替法容積率許可」を取得した。これにより都市計画上の容積率500%から655・40%へ、約155%割り増すことが可能となった。
「秀和青山レジデンス」は、敷地面積1926㎡、延床面積9457㎡、地上8階建ての分譲マンション。マンション黎明期のヴィンテージ物件として知られる秀和レジデンスシリーズの第1号物件で、1964年に建築家の芦原義信氏の設計により建てられた。現在では築後56年が経ち老朽化や耐震性の不足などの問題を抱え、2014年頃から建て替えが検討されていた。今回の建て替え計画では、敷地面積は同じながら延床面積1万9037㎡、地上26階地下2階に建て替え、2025年2月の竣工を目指す。
既存の建物は設備配管の劣化・漏水、断熱・遮音性の不良など、修繕改修では抜本的な改善が困難なほど老朽化が進行。住民の安全性を確保すべく、早急な解決が望まれていた。このような状況の中、野村不動産と旭化成不動産レジデンスは2017年に事業協力者として参画し、早期建替の実現に向けて事業推進活動を進めてきた。両社は2017年5月に事業協力者として選定されて以降、管理組合と共に建て替え計画の検討を開始。行政協議や全権利者との合意形成活動を着実に進め、権利者全員参加による建替組合が設立された。
今後は2021年8月に解体工事に着手し、2025年2月の竣工を目指す。建て替え後は26階建てのマンションが新たに誕生する。