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【ウィズコロナの新規顧客開拓術】不動産業界に多い風評被害 「万一」が起こる前の対策を

2020.10.12 14:29

 新型コロナウイルス禍のなかで、伸びたのがオンラインを通じたコミュニケーション。たとえば内覧や不動産販売などでもビデオコミュニケーションツールを使った営業が急速に広がり、浸透してきている。
 そのようななかで気を付けたいのがインターネット上で流れている会社の評判。意外な落とし穴になっている可能性がある。
 「当社は今年4月にオフィスを移転して現在の場所に移ってきました。実は現在のオフィスともうひとつのオフィスが選択肢としてありました。同じ賃料で、同じようなビルのスペック。決定打となったのはビルの管理会社をインターネットで調べたときに、社名の関連用語として出てきたのが『反社』という言葉でした。これでそのビルは選択肢から外れて、現在のビルに移転してきました」
 このように話すのはソルフェリオーナ(東京都港区)代表取締役の菊池将氏。同社は風評被害対策事業を主軸に展開している。企業から依頼を受けて、インターネットなどで流れる会社の評判などに対して対策を講じている。
 サービス名称は「風評被害対策シノビ」。監視モニタリングの「風評アラート」を提供していて、万一被害があるようであればレポートも発行する。そのうえで再発保証付きで、ネガティブな口コミサイトの検索順位を下げる逆SEO対策や、検索結果の健全化などの対策を講じていく。
口コミは重要な参考材料 デジタル時代のリスクにも
 菊池氏は消費者にとってインターネット上の口コミは「非常に便利なもの」だと話す。例えば何かのサービスを受けるときに、社名を調べることは今や普通だろう。特に不動産のような高い価格帯のものだったり、ネームバリューのない会社だと、評判は大きな役割を果たす。
 ただこの便利な口コミも法人側にとっては不利に働いたり、実情とはかけ離れたケースも多い。
 「たとえば、投資用不動産販売会社を例にとってみましょう。会社の設立当初は業績を伸ばすために、猛烈な電話営業などをしていくものです。そうすると、その会社の口コミは『しつこい』や『迷惑』などのネガティブなものになっていきます。ただその会社も業績が成長するにしたがって、たとえばセミナーによる集客など営業手法が変化します。そうすると、その口コミは会社の実態を表すものではなくなります。しかし消費者はその口コミを参照しますから、その会社にとってはビジネス機会の逸失につながりかねないのです」(菊池氏)
 ソルフェリオーナにはそのような悩みを抱えた企業から依頼を受けることが多い。業種では不動産業界の企業が多いという。
 ただ菊池氏は「当社はそのような口コミを削除するだけをしているわけではありません」と話す。たとえば悪質な営業を行い続けているような企業であれば、「断ることもあります」とのこと。現在、どのように変化したのか、企業の体質を見極めて依頼を受けているという。 
 菊池氏は「企業が実際に問題が起こっていることを認識できたときには相当のビジネス機会を逸失していることが多い」と指摘する。そのようなときはネガティブな口コミが広がって、いわゆる「炎上」していることも多い。だからこそ「そうなる前にご依頼いただいて、備えていくことが重要です」と話す。
 同社の風評被害対策サービスは企業規模や影響力などで料金体系が変化してくるが平均的には月額20~30万円。オンラインでのやり取りが当然になっているからこそ、リスクに対する適切な対処が必要だ。




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