不動産トピックス

今週の一冊

2012.05.21 15:20

実態に即した耐用年数のデータ集

IFRS対応 建物の耐用年数ハンドブック
編集 ロングライフビル推進協会
出版 中央経済社
発行 平成24年3月
価格 3200円(税別)

 地球環境問題が年々深刻化するなかにおいて、建築物全般はスクラップアンドビルドからロングライフ化することが重要であることが認識され、業界全体の方向性も転換されつつある。
そのようななかで多くのビルオーナーは建物を安全面や経営面から長持ちさせる必要性と、正面から向き合う時期が到来しているのではないだろうか。
 本書は良好な建築物ストックの形成を目指して、建築物のライフサイクルコスト全般に関わる技術者の育成や啓発活動を展開するロングライフビル推進協会による編集。同協会が財務報告のグローバルスタンダードである「IFRS」の適用を視野に入れ、今までの政策的な税法基準にこだわらない、企業や団体自らが決定する耐用年数を検討し続けた成果が、第7章の「IFRS対応の建物の耐用年数データ集」としてはじめて公にされているものである。各分野の専門家を集結し、有形固定資産の耐用年数・減価償却に関する整理をする、過去の実績に基づき耐用年数に関する実務的なデータを提供する、IFRS適用に向けて会計税務の基本的な考え方を明らかにするという課題に挑んだ。
 より実態に即した耐用年数が、例えば構造体や内装、外装といった建物の主要部位・部材など部門別に示されている本書は、長期修繕計画を作成・見直しする際に、非常に有用な一冊となるだろう。




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