不動産トピックス
クローズアップ タイルカーペット編
2012.02.27 13:45
約20年ほど前から、OAフロアの需要の高まりと共にオフィスビルへ爆発的に導入されたタイルカーペット。現在は、日本の建物の主要な床材として認知されるようになった。しかし、このタイルカーペット、オフィスで接する機会は多いのだが、デザインの差はあるが、性能面で明確な違いがあることに気付いているビルオーナーは多くない。今回は、独自の特長を備えたタイルカーペットを紹介したい。
住江織物 国内最高水準の再生材比率
住江織物(大阪市中央区)は、帝国議事堂(現・国会議事堂)へカーペットを納入するなど織物業界の老舗としての実績を重ねる一方、国内で初めてタイルカーペット生産を開始するなど、フロントランナーとして先進的な事業展開に取り組んでいる。
同社は連結子会社のスミノエ(大阪市中央区)らと共同開発した循環型リサイクルカーペット「ECOS(エコス)」シリーズを昨年から製造・販売している。同シリーズの再生材比率は68~77%と国内でも最高水準で、日本環境協会が認定するエコマーク取得のための基準である25%を大きく超えている。
タイルカーペットの原材料のほとんどは石油であり、再利用することにより省資源になるほか、LCAでは廃棄の際に発生するCO2量が20~43%もの抑制につながる。再利用は安全性の確認が取れる素材で行い、同社のバッキング(裏面)の場合はパウダー状に戻すため、何度でも繰り返し使用することができる。安全性については、外部機関による測定を行い、客観的に品質を維持している。
「従来タイルカーペットは、色や柄などデザイン性と価格が製品選びのポイントでしたが、同製品は、従来の予算で環境負荷低減に貢献できる点が評価されています。今後については、次世代を先取りするような色・柄・デザインを取り揃えられるような開発を進めています」(清水氏)
東リ 意匠性の高さを追求
インテリア建材メーカーの東リ(兵庫県伊丹市)では、独創的なコンセプトで時代のニーズに合う、意匠性の高さを追求したタイルカーペットの開発・製造を展開している。同社のタイルカーペットは、平成17年から平成23年の間で合計6度、グッドデザイン賞を受賞していることなどから、その製品戦略による成果が実証されている。
機能や品質面でも高い水準を保っている。フッ素系樹脂による防汚加工や、ナイロン素材による高い耐久性を実現する一方で、昨年10月には一部製品が日本のタイルカーペットメーカーやブランドとしては初めて、環境性能認定の世界基準である「Green Label Plus」を取得するなど、環境負荷低減にも貢献する。
平成12年から販売を始めた「GX」シリーズは、従来の主力シリーズである「GA」シリーズとの差別化のため、より高い意匠性や品質を追求したもの。平成22年には「コンティニュアス」が新たに発売され、同じ色の異なる柄を豊富にラインアップし、バラエティ豊かな組み合わせを可能にしたり、独自の織り方や裁断の技術により、カーペットのつなぎ目が気にならない、スムーズな連続性を実現したりする。
「『コンティニュアス』をはじめ『GX』シリーズでは高級感を演出でき、なおかつ高耐久で汚れにも強いため、例えばエレベーターホールなどといった共用部への導入などがおすすめです」(中村氏)
アスワン 衛生的な環境が求められる建物へ対応
インテリア資材・製品の開発、製造販売を行うアスワン(大阪市西区)は、優れた耐久性を備えたタイルカーペット「ロボフロアー」を展開。オフィスだけでなく、医療・福祉施設などを中心に、快適かつ安心な空間作りに対応している。
同製品の最大の特長は耐久性とメンテナンス性である。パイルには対磨耗性に優れたナイロン66繊維を使用しており、約7000万本/㎥以上の超高密度の植毛によって耐久性と復元性が驚異的に向上した。同製品を導入することでトータルコストが大幅に軽減でき、通常の使用状況において10年間の磨耗耐久保証が認められているのも心強い。下地に接するカーペットの土台となる部分は「防水性P.V.Cバッキング」と呼ばれる塩ビ樹脂を採用し、内部への浸水を防ぎ、下地を傷めず、また速乾性があるので、水洗いやシャンプークリーニングが可能となった。さらにリサイクルバッキング材を使用しており、グリーン購入法適合商品として訴求できる。
「ロボフロアー」は幅広い抗菌効果を持つ抗菌剤「サニタイズド」を使用、JIS基準における「制菌基準」を満たしている。さらに通常のタイルカーペットと比較して、空気中におけるアレルギー物質を抑える効果があることが、英国アレルギー財団より認定されており、医療・福祉・教育施設といった衛生的な環境が求められる建物へ対応できる。