不動産トピックス
クローズアップ 監視カメラ編
2012.01.30 14:45
防犯のために監視カメラを導入しているビルはもはや当たり前。昨今では性能やコスト、発展性などが重要になりつつある。既存のカメラ活用やマーケティング、オリジナルのカメラシステム構築など、付加価値を持ったカメラを紹介。
モスウェル 独自のシステム構築可能
防犯用をはじめ、工業用や医療用など様々な製品を展開するカメラメーカー、モスウェル(横浜市中区)。同社ではカメラの仕様変更や特注にも対応しているほか、録画装置などの各種アクセサリーもラインアップする。使用目的に合わせた性能のカメラと合わせた総合的な監視システムを構築できるのはメーカーの強み。同社営業部の郡司氏は「当社はカメラメーカーとして、製品の品質には自信を持っています」と話す。
カメラのラインアップの幅広さもメーカーならでは。例えば「ワイドダイナミックレンジ」タイプのカメラなら、暗い箇所と明るい箇所を同時に写すことが可能だ。従来のカメラでは薄暗い室内から窓の外に向けて設置した場合、窓の外が明るすぎて白っぽくなるか、あるいは室内が真っ暗に写ってしまう。「ワイドダイナミックレンジ」タイプでは室内の人物も窓の外の景色も同時に鮮明に写すことが可能で、防犯性能もアップするほか室内と室外への設置も不要になるためコストの低減にもつながる。
その他赤外線カメラや超小型カメラなども用意。あらゆる場所への取り付けも可能で、まさに監視カメラのフルオーダーといっていいシステムだ。
アイテック マーケティングにも使えるシステム
監視カメラやナンバー読み取りシステムを応用したロック版レス式の駐車場などを手掛けるアイテック(東京都新宿区)では、防犯など広い用途に対応したカメラシステムを展開している。
画素数は駐車場用の30万から130万へと大幅にアップ。リアルタイムの画像はインターネット回線を通じて見ることができるほか、過去の画像はカメラに内蔵されたディスクに記録される。130万という画素数は高解像度の映像を実現した反面、データ量が大きくネットでの送受信には適さない。そのため同社では80ギガバイトの記憶容量をもつ小型シリコンディスクを開発。ここに過去の映像を記録することでサーバーが不要となり、設置工事の簡素化にも寄与している。
もう一つの特徴が、駐車場運営のノウハウを生かしたナンバー読み取りシステムとの連動だ。駐車場の入庫時などに読み取った車のナンバーをデータ化し、来訪回数や来訪日時などの行動パターン、来訪地域、また出庫の際にも読み取れば滞在時間もわかる。これまでにも料金精算機と組み合わせたシステムはあったがイニシャルコストが莫大で、駐車場を無料としている施設では導入し難い。同社のシステムはカメラ単体での設置が可能なため、商業施設などでも手軽に導入できそうだ。
カメラは画角が広く、1台で広範囲の撮影が可能なため導入台数を抑えることができる。夜間に明るい光源を写しても画面が白焼けせず、鮮明な画像が得られる。同社営業部の高階氏は「防犯のみならず、マーケティングにも貢献できるカメラです。録画装置を一体型としたことでコストと設置スペースを省き、導入しやすくしました」と話している。
ステージ 既存カメラを利用可能 高画質最新型も用意
ステージ(東京都新宿区)が展開するのは、ビルに導入されている既存のカメラ設備を最大限生かしたシステム。イニシャル、ランニングコストのいずれも抑えつつ、最新機能を持った監視システムの構築が可能だ。
VHSなどのカメラは現在から見れば録画画質も粗く、録画にテープを使用するため消費電力やメンテナンスの面でも最新の製品にはおよばない。他の警備システムなどとの連携による発展性にもとぼしく、防犯という観点からも早急な更新が望まれる。しかし新規システムの導入にはコストもかさみ、またたとえ旧式のVHS方式のカメラであったとしても「カメラ」としての使用には問題のないものも多く、破棄もためらわれる。
同社のシステムは既存のカメラや配線などを活用する。録画端末をデジタル化することで録画画質も向上し、スマートフォンやタブレット型コンピューターで映像を見ることも可能。ズームや画角の変更等の遠隔操作や、マイクとスピーカーを利用すれば会話も可能だ。ランニングコストも3割ほど下がるほか、ビル管理も省力化できる。
例えば鍵を紛失して入館できなくなった入居者がいた場合、従来は管理者が現地に出向き、面接による本人確認を行った後にロックを解除するという方法がとられる。同社のシステムでは、管理者は鍵の紛失を告げる入居者に対し身分証明書などをカメラにかざすよう指示。画面に映し出された身分証明書と顔で本人を確認し、遠隔操作で開錠すれば解決する。
同社代表の河野氏は「状況や予算に合わせたシステム構築が可能。既存設備の活用にもつながります」と話す。画質の高さと豊富なオプションにより、監視という枠を越えた総合ビル管理システムの構築も可能だ。