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グラーストウキョウ 噴霧式ディフューザー発売 施設のブランディングやオフィス環境改善に貢献

2021.01.06 13:31

 在宅ワークが浸透する中で、オフィスそのものの価値が問われている。働く場の在り方が見直されてはじめている昨今、「オフィス環境」が重視される。環境整備の観点・ブランディング戦略の一つとして「香り」が注目度を上げている。

 グラーストウキョウ(東京都江東区)は、月額定額制で導入できる「噴霧式ディフューザー」を昨年11月にリリース。ホテルや店舗などを中心に、注目を集めている。
 同社は1947年創業のキャンドルメーカーからフレグランス部門が独立、2013年に設立された。社名の「グラース」は香水の都としても著名な南フランスの都市名からとっており、提供するフレグランス(香料)も、南フランスからの輸入のものが大半となる。
 香る絵の具:「香の具」など、多くの個性的なフレグランス製品を販売してきた。噴霧式ディフューザーに着目したきっかけは何か。代表取締役社長の藤井省吾氏は「リードディフューザーの販売を展開する中で、店舗や空間づくりにおいて、ブランディング戦略の一つとして、『香り』の需要が高いと聞くようになりました。特に旅館やホテル等、ホスピタリティを重視する業態では印象付けがトレンドになっているようです。そこで、広範囲に使用できる、噴霧式ディフューザーの販売に至りました」と契機を振り返る。
 プランは「天然精油プラン」と「香料プラン」の2種類。オイルは同社が用意しているベースの香りから、いくつかをクライアント自身が選定してブレンドすることも可能。顧客にとっては、施設・店舗オリジナルの香りを演出することができる点が魅力になる。さらに消臭成分も入っているため臭いが気になる喫煙所やトイレ、レジャー施設などへの導入も期待されている。オイルは半年ごとに定期的に各所に納品され、途中で香りを変えたくなった場合やオイルを納品前に切らしてしまった場合も柔軟に対応できる。
 噴霧式ディフューザーは、月額4000円から利用可能となる。オイル費用のみで本体リース代は一切かからないのも大きな特徴。「他社製品ですと、本体購入代で30万円ほどかかるものもあります。そうなると、『気にはなってはいるが、高くて導入できない』ということが起こり得ます。それならば、と本体はリース代を無料にして費用を徴収せず、オイル費用のみ負担して頂き、継続して製品を利用いただくことで利益が出ればよいと考えました」(藤井氏)。この戦略が功を奏し、コストの安さと香りのクオリティの高さから、導入先から大変好評を得ている。
 特に人気のフレグランスは、「オーキッドパール」。ホテルのアメニティなどに利用される、優しい香りが特徴。きつい香水の匂いが苦手な人でも和らげる、ホッとする香りが人気の秘訣だ。
 オフィスそのものへの導入は、残念ながら現時点では決まっていない。がオフィスのエントランスなど、共用スペースへの導入を検討している企業はある。「店舗を中心に、年間で200台ほど導入できればと考えています。フレグランス製品をこれまで取引していないような新規の企業様に向けて、認知を広げていきたいところです。コストをかけて『香り』製品を導入したいというオフィスはまだまだ少ないので、消臭抗菌の側面など、ハードルの低い観点からアプローチできればと考えています」
 オフィスへの「香り」の導入は、ブランディングのみならず、従業員にとって居心地の良い空間づくりにも一役買うだろう。様々な働き方が台頭する中で、あらゆる面からオフィスの空間づくりは今後、一層重要な課題となろう。




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