不動産トピックス
クローズアップ ルーバー編
2011.12.26 11:01
ビルの意匠性を向上させるだけでなく、様々な機能をもたらす「ルーバー」が続々と登場している。今回は環境に優しいエコ機能を備えた外装ルーバーを紹介する。
旭ビルウォール 太陽電池とルーバーが一体に
建物の壁面を彩るルーバーは目隠し・遮熱・遮光・意匠性を向上させる外装建材だが、外装建材メーカーの旭ビルウォール(東京都台東区)では、先述した従来の機能に加え、太陽電池を組み込んだ建材一体型の「太陽光発電ルーバー」を展開。同製品は、風切り音を防ぐ独自形状のルーバーに太陽電池を一体化させ、ビルの省電力化に寄与する。
「通常、太陽光発電システムは屋上や屋根に設置するケースがほとんどですが、当製品は壁面に導入し、発電機能のほか、建物の意匠のアクセントとして採用していただけます。また、省エネ推進を広める広告塔として注目されるお客様もおられます」(同社景観材料事業部 星野 秀生氏)
ルーバーのサイズは建物の仕様に合わせてカスタマイズすることも可能だ。屋上やバルコニーの手すりにも取り付けられるパネルタイプの製品も展開している。
「企業の社会的責任として、省エネが求められる時代となってきました。発電機能だけでなく、ルーバー本体の機能とPR効果を含めて、ビルの価値向上に寄与する製品となっております」(同氏)
日本ハンター・ダグラス 屋内の温度・明るさを自在に調整 開閉自在の可動式外装ルーバー
世界100カ国以上、166社を展開するハンター・ダグラス社の日本法人である日本ハンター・ダグラス(東京都品川区)は、太陽光の入射角を調整し、オフィス内の温度や明るさを自在に調整できる可動式外装ルーバー「エアロスクリーンAF」を展開している。
固定タイプのルーバーの場合、屋内へ取り込む太陽光の量を調整することができず、居住環境が損なわれるケースも多かったが、同製品は日除け効果と採光性を自在に調整できるように、電動もしくは手動方式で、アルミ押出型材製のフィンを角度0度から最大120度まで開閉させる仕組み。フィンのサイズは200mm~450mm幅まで全6種類から選べ、固定タイプも取り揃える。
「外装ルーバーは、デザイン性、目隠し効果、西日除けが主な役割ですが、室内に及ぼす太陽熱を自在に制御することで、空調機の消費電力の低減効果も高いです。自然エネルギーを最大限有効活用し、快適な居住環境を確保することができるエコに優しい製品として活用されるケースが増えています」(同社AP事業部 天野 広幸氏)
また、透過性を確保するべく、羽根型フィンの表面をパンチングした「エアロスクリーンAS」もあり、状況によって異なるタイプを採用可能。こちらは、フィンに無数の穴が開いており、採光性を重視しつつ羽を閉じた状態でも屋外の景色を眺められるのが特徴だ。
アベルコ 木のぬくもりを付与する再生木ルーバー
無機質なオフィスビルに「木のぬくもり」を。
10年ほど前にヨーロッパから導入された再生木ルーバー。当時は、木部材の反り・曲がりという品質管理に問題があり、あまり普及しなかったという。しかし、現在は技術力が著しく向上し、金属製と変わらない耐久性を誇るものも数多く存在するまでになった。
施工会社のアベルコ(東京都足立区)では、建築廃材を主な原料とする再生木ルーバー「TOPPAN MATERIAL WOOD」を展開。同製品の特長について、同社設計技術グループのリーダーである土屋孝司氏はこう話す。
「建築廃材の木材を粉砕し、そこへプラスチックのロス材を混ぜ合わた再生複合材を活用しており、リサイクル率は90%以上。環境に優しいルーバーとして建物の意匠性向上だけでなく、企業イメージの向上も図れます」
それまで捨てられていた廃材を再利用するため、製品が完成するまでに排出されるCO2の総排出量を低減でき、材料の「地産地消」も可能だという。気になる耐用年数だが、同社の実験によると、色褪せ、強度劣化がなく、50年の耐久性があるという。
ただし、あくまで再生木のため、環境によって若干の曲がりや反りが生じる可能性がある。しかし、同社は数多くの再生木ルーバーの施工実績を誇り、部材の反りや曲がりに対応した設置技術を有しているので安心だ。