不動産トピックス

クローズアップ 空調省エネ編

2011.01.03 10:57

 ビルの消費エネルギーの中でも最大の割合を占めるのが空調。逆に言えば、空調の電気料を抑えることは多大なコスト削減につながり、経営の上で大きな意味をもつ。もちろんCO2の削減は地球環境にも寄与する。

セーフティー・サービス・システム 空調効率向上に寄与するファンシステム
 オフィスの空調機器に対する不満としてよく挙げられるのが、空調の吹き出し口の位置によって、寒い場所と暑い場所といったように温度差が生まれ、執務空間の快適性が低下するという点である。これは、空調の温度ムラが発生しているのが原因であり、ムラを解消するには、室内の空気を攪拌することが最も効果的な対処法である。
 セーフティー・サービス・システム(東京都千代田区)が販売している「エコシルフィ」は、天井に設置するファンシステムであり、温度ムラを解消するエコ商材である。
 同製品の特徴は、直線的な微風を発生させることで循環対流を生み出し、空気を攪拌することで上下水平の温度ムラを解消することが可能である点だ。
 温度ムラを無くすことで空調効率も高めることが可能となり、冷暖房費が最大で30%削減することができる。また、常時運転することで結露やカビを防ぐ効果も発揮する。また、「エコシルフィ」自体も小さくコンパクトな設計となっており、設置場所を限定しない点も特徴となっている。
 「同製品は、「平成13年度の省エネ大賞」を受賞したエコ製品です。環境意識が高まっている現在、問い合わせ件数も増加しており、学校施設やオフィスなどを中心に導入実績を確実に伸ばしています」(取締役社長 小東 正洋氏)

ミノリソリューションズ 外気温に合わせて設定温度を自動制御
 ミノリソリューションズ(東京都中央区)は、オフィスや工場を対象にした「エアコンエネルギーマネジメントシステム」を販売している。
 東京都環境確保条例や改正省エネ法の施行により、大型オフィスビルや、電力消費量の多い工場などに対してCO2排出量の削減義務が課せられており、ビルオーナー及び建物管理者にとっては省エネ対策が喫緊の課題となっている。ビルの消費エネルギーは、空調設備と照明設備がその多くを占めており、この2つの設備を省エネ化するが、ビルの省エネの最も有効な手段である。
 ミノリソリューションズが展開している「エアコンエネルギーマネジメントシステム」は、その名の通り空調設備の運転を自動で制御するシステムである。同システムは、ASPサービスを利用して、予想気温と予想湿度の情報を5分毎に取得することで、省エネルギーと室内の快適な温度の両立を図ることが可能であり、これまでの空調設備の省エネと異なり、執務空間の快適性を損なうことがない点が特徴である。
 「これまでの空調の省エネでは、どうしても温度や湿度のムラが発生してしまい、省エネ効果があっても快適性が損なわれるケースが多かったのですが、当社のシステムはこの点を解消するべく、5分おきに複数台の空調の設定温度を外気温に合わせて自動設定することが可能です」(代表取締役 杉井 康之氏)

山武 空調配線をワイヤレス化
 山武(東京都千代田区)は、オフィスビル向けに、空調配線の完全ワイヤレス化を実現する「ワイヤレスVAV(ブイエーブイ)/FCU(ファンコイルユニット)システム」を販売している。
 近年、オフィスビルの建設・改修においては、短工期で建設することや、竣工後にレイアウトや間仕切りを変更できる高いフレキシビリティが求められてきている。このような背景から、同社は空調制御用温度センサーの設置場所の自由度を高め、天井裏を含めた施工効率向上と省資源を実現するワイヤレスシステムを開発したという。
 ワイヤレス型の空調制御用温度センサー、センサー付きの設定器、ワイヤレス型の空調制御用コントローラーといった3つのデバイスから構成される本システムには次のような特徴がある。
 第一に、ワイヤレス化により室内設置場所の制約を受けずに、最適な温度計測を実現した。第二に、温度センサーおよび天井裏に取り付ける空調制御用コントローラーの設置にかかわる配線工事を不要とし、省資源に貢献する。第三に、独自の無線技術により有線と同等レベルの通信技術を確保した。
 導入価格は工事費別で200万円から。新築ビルを中心として積極的に導入を提案中という。

住友商事マシネックス フィルター再利用によりCO2とコストを削減
 住友商事マシネックス(東京都中央区)は、オフィス向け空調フィルターの販売に当たり、フィルターの洗浄・再利用とカーボンオフセットの組み合わせにより「CO2を排出しない」空調フィルターサービスを展開している。
 オフィス用空調フィルターは、家庭用エアコンのように水洗いすることができないため、従来、年に1回程度は交換・廃棄され、破砕処理の後、産業廃棄物として処分されていた。
 同社はこのような状況のもと、住友商事建設不動産本部と共同で平成13年からフィルターの再利用サービスを開始した。超音波洗浄により使用済みフィルターを新品同様に再生させることで、CO2排出量の削減、コストの削減、廃棄物の削減が実現できる。
 この再利用により、オフィス用空調フィルターから排出されるCO2は、標準的なフィルターを廃棄・交換する場合と比較して96%削減されるという。平成22年の夏にはさらに環境への配慮を高め、残り4%分のCO2排出分については、温室効果ガスの排出権を付与(カーボンオフセット)することで、「カーボンニュートラル空調フィルター」を実現した。
 カーボンオフセットとは、自らのCO2排出量を確認し主体的にこれを削減する努力を行うとともに、削減が困難な部分の排出量について、他の場所で実現した温室効果ガスの排出削減・吸収量等を購入することでその排出量を埋め合わせる(オフセットする)こと。ビルオーナーにとっては、メンテナンスコストの削減につながる上、環境配慮のアピール効果がある。




週刊不動産経営編集部  YouTube