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有形文化財「堀ビル」がシェアオフィスとして再生
2021.04.26 11:44
東京都港区新橋に立地する国の登録有形文化財「堀ビル」が3月末に改修工事を終え、シェアオフィス「GOOD OFFICE新橋」として運用を開始する。改修を手掛けたのは竹中工務店(大阪市中央区)で、今回の「堀ビル」の保存活用は2018年に運用を開始した東京・九段下の登録有形文化財「旧山口萬吉邸」の保存活用に続く第2弾の事業となる。
「堀ビル」は、建築金物の製造販売を行う堀商店(東京都新宿区)のオフィスとして1932年に竣工した。外堀通り沿いの交差点の角地に立地する地上5階地下1階の鉄筋コンクリート造で、外観は全体に貼り巡らされたテラコッタタイルを基調として水平に窓が連続する特徴的なもの。建物の内外に施された様々な装飾も残り、その建物の価値が認められて1989年には東京都の選定歴史的建造物に、1998年には国の登録有形文化財に登録されている。
改修後の堀ビルは敷地面積196㎡、延床面積875㎡、建築面積172㎡、鉄筋コンクリート造地上5階地下1階のオフィスビルとなった。共有スペースがふんだんに設けられ、オフィス縮小移転のニーズにも対応できる。
竹中工務店では今回の改修工事にあたり、文化財として重要な外壁のタイルや石を丁寧に補修。内部の木扉、金物、暖炉、和室など当初の風合いや装飾を極力残しながらモダンな要素を取り入れ、美観を整える工事や設備の更新を行った。蝶々形のブロックを積み上げて耐震補強壁を築く「エストンブロック工法」や、軽量で加工が容易な不燃ダンボールダクト「エボルダン」など独自技術も採用し、耐震性確保やシェアオフィスとしての機能性と快適性を付加している。コロナ対策のため、機械換気設備も新たに設置した。
「GOOD OFFICE新橋」は、約12~55㎡のレンタルオフィス全20室で構成され、会議室やラウンジなどの共用スペースも整備。昨今のテレワーク浸透にともなうオフィスニーズの変化にも対応可能なシェアオフィス。
4階には竹中工務店がオープンイノベーション拠点「(仮称)COT-Lab新橋・虎ノ門」を構える。「新しい暮らし方・働き方を叶えるオフィス、オープンイノベーションを誘発するオフィス」として、建設DXを加速させるべく、多様な企業との協業によるイノベーションの推進を図るとしている。