不動産トピックス

クローズアップ 排水対策編

2010.01.04 10:34

 ビルにおける排水問題の原因として、もっとも多いのがビルピットから発生する汚泥処理費用と臭気である。この問題は、ビル内の飲食店から出る汚れた排水をきちんと処理することができず、汚水槽に蓄積することで発生する。そこで、テナントから出る廃水を処理し、クリーンにすることで排水の諸問題の発生を抑えられるのだ。

ユニバース開発 ネットの装着で清掃の省力化実現 低コストで貯水槽の問題発生防止
 ユニバース開発(東京都新宿区)はビルにおける悪臭・配管詰り・地下貯留槽の汚泥処理問題の発生源となる飲食テナントのグリーストラップを清潔に保つ「スカムセーブネットオイルキャッチシステム」を販売している。  グリーストラップは、ビル内の飲食店舗などから排出される汚水を一時的に貯留し、排水中に含まれる油分を分離させる油水分離槽である。
 排水を貯めることから、諸問題の発生源とみなされるグリーストラップだが、こまめに清掃を行っていれば、問題が発生することを大幅に減らす事ができる。 
 それでも、油汚れなどがこびり付き、油の溜まった貯水槽を清掃するのはひと苦労であるため、清掃が後回しになり、次第に放置され、悪臭が発生し、油は排水口に流出し、ビル内配管詰りや貯留槽へ油が流入することになる。
 「スカムセーブネットオイルキャッチシステム」は、この清掃の煩雑さを解消することで、清掃が無理なく続けられるシステムなのである。
 使い方は、通常のグリーストラップにおいて、残さなどを水槽部分に流さないようにする「残さかご」の代わりに専用のホルダーを取り付ける。そして、先端部に伸縮性に優れたネットを取り付けることで、細かい残さが水槽部分に流れ込むことを防ぐ。このネットは網目が細かく、大きな生ゴミ以外に、グリーストラップに堆積したり、壁面にこびり付く残さを減らす効果もある。
 さらに、残さが入ったネット部分はグリーストラップの水中に沈んでいるため、空気中に露出している残さかごに比べ、酸化が遅れ、臭いも出にくくなる効果がある。
 ネットの中に入った残さはネットを交換することで簡単に除去できる。そして、このネットを通過してグリーストラップに入った油分は、水面に浮いて塞き止められる。そこに撥水加工された油吸着材をまく事で水を吸わずに油だけを吸着させ、網ですくい上げれば油分も簡単に除去可能である。このように、ネットの交換と吸着剤の散布・回収という2つの簡単な工程のみ。時間にしてわずか5分程度の作業で、グリーストラップから発生する悪臭・流出する油分を防ぐ事ができるのである。
 スカムセーブネットオイルキャッチシステムのランニングコストは交換ネットと油吸着剤が1カ月につき約5000円~。初期導入コストはネットホルダー・すくい網で約3万5000円。なお、電気は使用していないためエネルギーコストは発生しない。
 テナントの入居条件の中にこの方法による清掃を義務づける事により、ビルオーナー側は配管詰まり、地下貯留槽での汚泥処分、ポンプ故障などにかかる費用を激減させることができる。
 テナント側はわずかなコストで厨房内を清潔に保て、悪臭問題からも開放され、引抜き清掃の頻度を減らす事ができる。
 「スカムセーブネットオイルキャッチシステムは、グリーストラップ放置の最大の原因であった”清掃の煩雑さ”を解決し、簡単で素早く清掃ができます。導入及びその後のランニングコストも安価であるので、規模の大小に関わらず、さまざまなビル・商業施設で多くの導入実績があり、オーナー側、テナント側双方でメリットがあるシステムです」(環境事業部係長 志摩 聡彦氏)

バイオフューチャー バイオでビルピットの汚れ分解 使いやすい固形のバイオ 汚れの種類に応じて用意
 バイオフューチャー(東京都新宿区)はバイオ関連製品の開発に特化したベンチャー企業である。同社はバイオ関連製品の中でも、特にビルに関連の深い商品を開発している。
 同社が販売している代表的な製品のひとつに、厨房などから流れ出てビルピットに溜まった油分を分解する「モップアンドトリート」がある。
 飲食テナントから排出される油汚れは、ビルピットからの悪臭発生の原因となる成分であり、壁面等にこびりつくため、掃除にも非常に手間がかかり、清掃を難しくする要因となっている。モップアンドトリートは、この油汚れを分解するバイオ製剤であり、固形の錠剤であるため取り扱いやすく、化学洗剤に比べて環境に対する負荷が低く、油汚れによるぬめりとにおいの双方を分解する効果がある。
 このほかにも、浄化槽やグリースとラップ、トイレなど場所に応じて汚れとにおいを分解する「カラーバイオ」シリーズや、 汚染土壌に混ぜることで汚染の原因となっている油やベンゼンなどの物質を吸着し、分解する「オイルゲーター」など、環境負荷が低く、吸着速度の速いバイオ関連商品を用途に合わせて販売している。




週刊不動産経営編集部  YouTube