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膨大な書類をAI×人力でデータ化 今秋には不動産業界特化型も提供へ
2021.06.21 14:17
業界では賃貸借契約書やマイソクなど膨大な書類を取り扱う。データ化も進むが、手書きの場合、OCRの読み取り精度も不安が残る。その課題をAI―OCRと人の力で解決するサービスが登場した。
主婦などのクラウドワーカーを活用したSaaSサービスや在宅ワークのマッチングサイト「シュフティ」を展開する、うるる(東京都中央区)グループは今年4月よりAIと人力を活用してデータ入力を自動化できるサービス「easイース/Entry Automation System)」を展開している。今秋には不動産業界特化型の提供も行っていく。
同社では創業当初よりデータ入力サービスを展開してきた。現在では主婦を中心として、同社の登録ワーカーは約40万人を数えており、これらの人的資源を活用して入札情報速報サービスや電話代行サービスなどの様々なSaaSサービスを展開している。
今回、提供を開始した「eas」は手書きの申込書などを、AIを活用した文字認識技術「AI―OCR」と人を組み合わせることで、より高精度なデータとしてアウトプットするものだ。執行役員の野坂枝美氏は「OCRだけでデータアウトプットを目指すと、特に手書きの場合、誤って認識することも多く、精度が低いケースも多い」と指摘する。最初にOCRで読み込んだものをさらに人がチェックしてアウトプットすることで、「99・98%以上の精度を確立しました」と話す。
不動産業界では賃貸借契約書やマイソク、重要事項説明書など紙の書類が多い。これらをデータ化する作業も進められているが、自社で行うには時間がかかり、業務負担も増えていた。
「『eas』はデータ化作業をアウトソーシングして、より付加価値の高い業務に時間を割くことができるとともに、データ化のスピードもこれまで1週間かかっていたものが約4時間で完成することができます。様々な業界でサービスを提供していきますが、そのなかでも不動産業界は親和性の高い業界のひとつだと考えています」(野坂氏)
不動産テックが浸透してきているとは言え、紙の書類もまだ残る。無理なくDXを進めていくためのソリューションとして期待できそうだ。