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ヤモリのクラウド経営管理サービス「大家のヤモリ」・「管理会社のヤモリ」利用増
2021.06.29 12:36
2019年11月創業のヤモリ(東京都港区)は、不動産オーナー向けのクラウド経営管理サービス「大家のヤモリ」と管理会社向けのクラウドオーナー管理サービス「管理会社のヤモリ」を展開。現在オーナーと管理会社の双方でユーザーが増加している。
ヤモリのユニークな点は、不動産オーナーの視点に拘ってサービスを設計していること。「ヤモリの学校」や「ヤモリの家庭教師」といったオウンドメディアやパーソナルサービスを組み合わせることで、より多くの人が不動産事業の一歩を踏み出せるようにサポートしている。
不動産オーナー向けの「大家のヤモリ」は、収益不動産をクラウドで一元管理できる収支管理ソフト。複数棟かつ様々な地域に散らばっていたオーナーの保有物件の関連情報を1カ所に集約・可視化することで、不動産全体の分析や管理の円滑さを実現した。ターゲットは個人投資家の不動産オーナーや中小規模の不動産事業社等で、収益不動産を保有・管理していること、またアナログな業務やペーパーレスの進んでいない個人オーナーや企業にとって非常に導入メリットが高い。保有物件の収支状況をしっかりと把握できていないオーナーや企業であれば、毎月の収支計算や名義・物件ごとに空室率・家賃の滞納率等の可視化、それも1棟ごと1ルームごとに分析することも可能だ。書類はクラウドでまとめて一括管理でき、社内や管理会社とも共有・連携できる。これは管理会社とのやり取りも同様となり、オーナーと管理会社とのやり取りは全てチャットと自動メールで行い、かつ内容はクラウド上に残るので相互の情報共有にも繋がった。
更に金融機関への融資申込にも役立てることが可能だ。融資に必要な書類及び資料等はクラウドで作成してダウンロードでき、確認もスムーズ。特に金融機関としては不正融資申込の抑制や審査プロセス・顧客との情報共有の効率化、融資後の不動産収益状況の把握も瞬時に行える。またクラウド上の資料は税理士とのやり取りにも活かせるなど、従前まで行っていた多様な業務が簡素化できる。
共同創業者で代表取締役の藤澤正太郎氏は「弊社による現役大家へのインタビュー結果によると、大家の約半数は収支管理がおざなりで、大家目線で利用しやすいツールがないことが発覚しました。不動産運営に関する書類の放置や管理会社との連携不足が見られ、資産価値の減少や住宅環境の悪化に繋がっていると思われます。当社はこれら現役大家に対して、『収支管理の見える化』や『書類管理の簡素化』、『管理会社とのコミュニケーションの円滑化』を、IT技術を用いて行い、投資から事業へのマインドを持つ大家を増やす、かつ賃貸市場の活性化を目指し始めました」と経緯について語った。
一方管理会社向けの「管理会社のヤモリ」は、オーナーとのコミュニケーションを1カ所で完結できることが魅力。先にも述べた、書類管理や送付作業、情報共有等の効率化が実現し、オーナーに対しては物件ごとの資料作成や改修・メンテナンス等の物件管理における提案といった、きめ細やかなサービスの提供にも繋がった。更にオーナーには、他の管理会社との差別化や管理業務のサポート体制もアピールできる強みにもなる。
藤澤氏は「現在利用者は500名ほどで、不動産オーナーが大半を占めます。5~6割は都心のユーザーで、残りは地方の方です。当社のミッションは大家業のプレイヤーを増やし、かつ既存大家の経営サポートを通して賃貸事業の量と質を上げることで、賃貸市場の活性化・住居環境の向上を図ることです。『不動産の民主化』を目指して、まずはユーザー数を伸ばしていきます」と語った。