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「博多コネクタ」竣工 福岡酸素などが入居

2021.07.26 14:48

 鹿島建設(東京都港区)が、福岡酸素(福岡県久留米市)と共同で開発を進めてきた「(仮称)博多駅前四丁目ビル」が6月30日に竣工を迎え、正式名称を「博多コネクタ」とし、始動した。
 同ビルは、敷地面積3610㎡、延床面積2万1449㎡、総貸室面積1万5387㎡、基準階貸室面積1871㎡、S造(一部CFT造)地上9階の賃貸オフィスビル。鹿島の企画・設計・施工による開発物件で、JR「博多」駅から徒歩9分の場所に立地する。福岡酸素がオフィスとして使用するほか、テナントとしてとワイジェイカード(福岡市博多区)が入居する。
 屋上には、ビル利用者に向けて、開放的な眺望と緑に囲まれた「天空庭園」を設置。鹿島建設の持つ環境技術を生かし、ビル内で発生する植物性残渣や植栽の剪定くずを利活用して、野菜・ハーブなどを育てる「天空菜園」を設ける予定。
 敷地の外周部にはゆとりある歩行空間を設け、ウッドデッキや石、樹木などの自然素材を使った心地よい歩行環境を整えた。住吉公園と人参公園の緑をつなぐ「グリーンプロムナード」、ウッドデッキを設えた憩いの空間「グリーンポケットパーク」など、東西北の面ごとに特色ある空間を創出している。
 BCP対策として建物の構造には、鹿島保有の制震技術「ハニカムダンパ」を採用。また、電力は2つの系統から供給を受けて冗長性を確保した。さらに屋上には、連続で最大72時間稼働する非常用発電機を設置するとともに、非常時利用を想定して受水槽・排水槽の容量を確保するなどBCP対応に万全を期している。
 感染症対策としてワイジェイカードと協力し、3密対策、非接触化等の感染症対策に取り組む。
 フラッパーゲートの顔認証システムとエレベーター行先予報システムを連動することで、非接触かつ混雑緩和によるスムーズな移動を実現。
 換気容量は、想定される人口密度に即した検討結果を踏まえ、一部で増強を図るなど、ビル利用者の安全・安心を追求する。
 使用する電力は九州電力の保有する水力発電所・地熱発電所に由来する、再生可能エネルギーのみを用いて脱炭素社会の実現に貢献する。また、建物はCASBEEにおける「Aランク(大変よい)」評価(自己評価による)を受けており、環境に配慮しながら、快適性を追求している。
 ビル名称の「博多コネクタ(HAKATA CONNECTA)」は繋ぐ・結びつける意味合いのConnectと博多(HAKATA)を組み合わせた造語。同ビルをめぐる関係企業の繋がり、人と人の繋がり、そして地域や地球環境との繋がりを意識して名付けられた。また、コネクタのCには経済の循環、資源の循環、季節の循環(Cycle)といった意味も込められている。




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