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今年4月本社オフィスを全面リニューアル 地球や人・社会に優しいグッドエシカル
2021.08.03 11:24
ハブオフィスの価値を追及する
船場(東京都港区)は、商業施設や教育・文化施設、オフィス等の空間創造において、企画・設計・施工・メンテナンスまでをトータルで手掛ける空間デザイン会社。今年4月には本社オフィスを全面リニューアル。何処にいても働ける時代にハブオフィスの価値を追求するとともに、地球や人・社会に優しい「GOOD ETHICAL OFFICE(以後、グッドエシカルオフィス)」構築を目指した。
同社は2019年より普及が進んだ働き方改革に伴い、積極的にテレワークを採用。社員の出社率を減らしつつテレワークの促進を図ってきたことで、21年3月には「第1回TOKYOテレワークアワード」で大賞を受賞するまでに至る。この働き方改革に伴い、昨年12月にJR「浜松町」駅から徒歩8分に位置する「シーバンスS館」のオフィスを2フロアから1フロアへ集約。と同時に、場所を選ばず何処にいても仕事ができる、またハブとなるオフィスで仕事をする場合はオフィス内で新しい価値を創出する、その様な空間・環境づくりを同社で抱える空間デザイナーや施工技術者と共に進めてきた。21年3月に執務スペースの改修が完了。4月下旬には配信スタジオを含む全ての工事が完了し、順次社員の利用が進んできた。
資源循環型のリノベ 廃材をアート作品に
今回のリニューアルではデジタルとエシカルに舵を切り、地球や人・社会に優しいグッドエシカルの構築を目指した。エシカルとは「論理的な」という意味を持つ形容詞で、昨今では多くの人が考える「社会的な模範」として使用されることが多い。同社では今あるモノを利活用しながら、新たな価値の創造へと繋げるグッドエシカルなオフィスを意識。資源の調達から内装施工時に排出される産業廃棄物の削減と再資源化を一元管理する資源循環型のリノベーション「CIRCULAR RENOVATIONTM(サーキュラーリノベーション)」を取り入れた。主には資源のリユース・リサイクルのみならず、リニューアル前のオフィスで使用していた什器・備品、現場工場で使用されなくなったカラーコーンや使用済みのマテリアサンプル、排出された廃材をファニチャーのアート作品として配置した。
エシカルデザイン本部の加藤麻希氏は「弊社が掲げる『Semba Ethical Design Thinking』とは、地球環境への配慮や思いやりの視点を大切に、全ての事業プロセスをゼロから考え直す(Re―think)というデザインの考え方です。今回の本社オフィスのリノベーションでの基となっており、様々な箇所で体感できる造りとなっております。また新しいオフィスは拡散する働く場の『つなぎ目』や『起点』の役割を担うハブオフィスとして機能します。人と人、人と組織、組織と社会、リアルとバーチャルの繋がりを強固にする場所の形成を目指しました」と語った。
働くを自由に選択 ABWを意識
エシカルデザインの考え方だけでなく、働くシーンを自由に選択できるABW(Activity Based Working)も意識した。HACKABLE(可変的な)DESIGNをコンセプトとしながら、デジタルとエシカルを取り入れた空間も設計。ワークシーンに合わせて様々な場所やスタイルを選択できるゾーニングとしている。ちなみにゾーンは8種類。設計を担当した同社の成富法仁氏は「来客・パートナーと社員で使用するエリアを『コラボ』と命名しており、ミーティングやショールームをはじめ、ABWの執務スペースやカフェ、当社からの情報配信の機能も有しております。またプロジェクトチームの立ち上げ、メンバーの集まる場所は『プロジェクト』。模型や簡単な試作品を製作できる工具・機材を揃えている、アイデアの具現場所は『プロト』。など、8つのゾーンにより従来よりも更に魅力的なハブオフィスとなりました」と語った。
重要なのは上記の機能をクライアント(不動産事業社やビルオーナー)にも提供できること。グッドエシカルなオフィスフロア改修や商業・オフィス・複合ビルの価値を高める共用部改修など検討している場合は、一度同社のオフィスへ足を運んでみては如何か。