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リビタ シェアオフィス事業を本格化 9・10月に新宿エリアで2拠点開設
2021.08.30 15:04
オフィス業界においてシェアオフィスやコワーキングスペース等は定着したが、コロナ禍においてのフレキシブルなオフィスや働き方に合致したサービスとしてはまだ不十分と言える。上手く現在のニーズに合わせながら「働く」と「暮らす」の双方の需要を取り込んだシェアオフィスが新宿エリアで拡充していくようだ。
シェアオフィス内に住まいの機能を導入
京王グループで、賃貸物件やシェアスペース、ホテル等の物件再生及びコンサルティングを行うリビタ(東京都目黒区)は、「暮らしを自由にする」をコンセプトにしたシェアオフィス「12(ジュウニ)」を展開してきた。今年9~10月に掛けては新宿エリアで「12 SHINJUKU3CHOME(ジュウニ シンジュクサンチョウメ)」と「12 NISHISHINJUKU(ジュウニ ニシシンジュク)」の2拠点を開設する。シェアオフィス事業の本格化に踏み切り、2026年までに10施設の開業を目指す。
12シリーズは、オフィス内にリビングやキッチン、イベントスペース等の住まいの機能を一部導入することで、新しい暮らし方や働き方を知るキッカケに出会うことができるシェアオフィス。2018年9月に1拠点目となる「12 SHINJUKU」を「新宿」駅直結のビルで開設。早期に満室稼働を実現し、以降平均93%と高い稼働率を持続してきた。
この実績やノウハウに加え、利用者からは住まいとオフィスを融合した空間に対するニーズの強さを感じたこと、コロナ禍を経てワークスペースに求められている役割が大きく変化し、フレキシブルなオフィス需要が高まっていることに着目。東京23区内では、コワーキングスペースがオフィス全体の床面積のうち数%しか供給されておらず、かつ既存のコワーキングスペースは港区・品川区・中央区等に集中。京王グループの同社が強みを持つ新宿エリアでは、供給がまだ少ないこともあり本格的に取り組むこととなった。
1フロアをリノベ キッチン付きの空間
9月1日オープン予定の「12 SHINJUKU3CHOME」は、地下鉄「新宿三丁目」駅直結の京王電鉄(東京都多摩市)が所有する「京王フレンテ新宿三丁目」4階に開設する。従前は店舗が入居していた1フロアをリノベーションし、働くと暮らしの要素を組み合わせたシェアオフィスとして再生。中でも各部屋には占有できる共用部分として「にわ」スペースを構築(一部除く)した。休憩したり気分を変えて仕事をしたりと、自由に使える空間=「にわ」付きの一戸オフィスといった形だ。また多目的に使えるLDKも魅力。社内やシェアオフィス内の交流に使えるLDKを構築し、仕事の合間にランチを作ったり、休日に家族を呼んでリラックスしたりと用途は様々である。
26日にはメディア向けの内覧会を開催。代表取締役社長の川島純一氏やオフィス推進部の井上聡子氏は「借りながら貸せる『マガリ』の仕組みを採用しました。マガリは、オフィスを使わない時間は会員登録している会社や個人に貸し出せるスペースシェアリングの仕組みです。日時をアプリに登録するだけで簡単に貸し出しができ、マガリされた分の利用料は賃料から相殺されます。時間やコスト面でも、仕事と暮らしを自由にすることを目指していきます」と語った。まずは来月に「12 SHINJUKU3CHOME」が誕生するが、10月には「12 NISHISHINJUKU」を開設する。
同社は今後12シリーズの相互利用も行う。区画契約者やフリーデスクの契約者は、契約している物件以外の12シリーズでもラウンジ&LDKを利用することができる。また12シリーズのラウンジやLDK等の共用エリアを利用できる個人会員制度を設ける予定だ。多様なワークスタイルや利用ニーズを想定した契約内容の拡充など魅力は多い。