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「オフィス像」の多様化鮮明に オフィスづくりに実績持つ4者が議論

2021.10.04 12:03

 コロナ禍で生じた働き方の変化。それに伴って、オフィスに対する需要も変化を見せている。そのようななかで「これからのオフィスの在り方」を探ろうと、リーシング・内装・オフィス家具・コワーキングスペースの各分野に精通した4社が合同でセミナーを開催。オフィス像の多様化が鮮明になっていることが示された。

 先月29日、「コロナ後のオフィスの在り方」をテーマにしたウェブセミナーが開催された。登壇者はオフィスリーシングに強みを持つジャパン・プロパティーズ(東京都港区)代表取締役社長の高将司氏、オフィス・店舗・住宅の不動産探しから内装デザイン設計施工を行うTRUST(東京都多摩市)会長の山口一氏、家具のサブスクリプション型サービスを展開するsubsclife(東京都渋谷区)代表取締役社長の町野健氏、コワーキングスペースを展開するいいオフィス(東京都台東区)COOの高橋位征氏の4名。セミナーは各氏10分ほどプレゼンテーションを行ったあとの質疑応答が行われた。
 トップバッターとなった高氏は「コロナ後のオフィス賃料の3極化」としてプレゼン。渋谷区や港区などで大型ビルの空室率上昇がみられる一方、中小ビル、そのなかでもセットアップなどの内装付きオフィスはニーズが高いことを明かす。コロナ禍でリモートワークが普及する中で、オフィス面積の算出が「2~3坪/1人」だったのが「2~3坪/2人」に変化していることを指摘。必要面積が従来よりも縮小していることから、ビルオーナーにとっては中小規模のオフィスビルへの需要が高まっていることを示唆した。
 TRUSTの山口氏は「”リアル×リモート”変化するオフィス空間の役割と価値」と題して講演。同社が携わった移転事例として、オフィスを渋谷から茨城県つくば市へ移転して固定費を削減したケースや、賃料がリーズナブルになったハイグレードビルに移転した事例などを紹介。リモートワークが広がる中でも、オフィスの重要性の再認識が強まっていることを指摘する。コロナ禍収束後の働き方について同社が企業にアンケートを取った結果、出社が6割、ハイブリッド型が4割弱という結果になっている。そのようななかではオフィス内装も変化が見られ、フリーアドレスやリモートワークをする社員ともコミュニケーションがとりやすいスクリーン付きエリア、また「ウェビナールーム」の設置などがニーズとして出ていることを紹介した。
 いいオフィスの高橋氏は同社コワーキングスペースが現在47都道府県で570店舗にのぼっていることを明かしたうえで、シェアオフィス・コワーキングスペースは今後更に増えていくことを指摘。subsclifeの町野氏は自社の働き方やオフィスづくりを紹介。ルール作りやどのようなツールを使用していくかの前段階として、理念やオフィスのあり方を明確にしていくことが重要だと話した。




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