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来年3月「名古屋ビルディング桜館」竣工へ 木材利用・CO2フリー電力で環境負荷低減求める

2021.12.27 11:57

 昨年、創立70周年を迎えた名古屋ビルディング(名古屋市中区)は名古屋市中村区名駅四丁目2で進めてきた「(仮称)名古屋ビル 東館」のビル名称を「名古屋ビルディング桜館」に決定した。
 同ビルは地上12階地下1階で、延床面積1万1335・25㎡、敷地面積1274・59㎡。「名古屋」駅から徒歩6分のほか、地下鉄「国際センター」駅から徒歩2分の場所に立地する。駅から続く大通り「桜通り」にちなんだ名称で、敷地内にはシンボルツリーとして「大島桜」を植える予定となっている。
 基準階貸室面積は約190坪。無柱空間となっていて、最大で4分割対応可能。企業規模や業種などを幅広く視野にいれた。ゾーンごとに個別空調を設置。窓にはLow―E複層ガラスを採用して、暑さ・寒さ、紫外線による影響を受けにくい室内環境を確保。また縦ルーバーを設けて、日差しの影響も軽減する。
 最上階にはリフレッシュスペースを設けている。また共用部内にもパントリーを2カ所設置。そのうち1カ所はコミュニケーション可能な集いの空間にアレンジしている。
 BCP対策も万全を期した。地震の揺れを吸収する粘弾性制震ダンパーを各所に設置。大規模水害対策としては建物出入口に起伏式防水板を設置するほか、主要設備は屋上に設置。中央監視システム等は1階床面より3mかさ上げを行った。更に72時間分の非常用発電とオイルタンクを確保している。
 同社は環境への取り組みを積極的に進めているが、「名古屋ビルディング桜館」でも力を入れる。
 エントランスは縦横の木材が緩やかなカーブを描く。愛知県の「2021年度木の香る都市づくり事業補助金」対象事業として採択。木材については愛知県産の「杉の無垢材」を使用する。また中部電力ミライズ(名古屋市東区)が提供する高圧のCO2フリー電力で、館内の電力を100%供給する。
 竣工は来年3月末を予定している。先進的な環境への取り組みを進めるビルとして、名古屋エリアのモデルのひとつとなりそうだ。




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