週刊ビル経営・今週の注目記事

毎週月曜日更新

銀泉の進める建替プロジェクト1月末竣工予定の「銀泉西新橋ビル」

2022.01.17 11:48

 西新橋交差点の角地で行われている建替えプロジェクトが間もなく完成を迎えようとしている。主導するのは保険・ビル・駐車場事業等を展開する銀泉だ。日本古来の建築にも繋がる軒の繋がりをデザインに採用しており、意匠性や視認性の高さから注目の建替えである。
西新橋交差点に立地 地上12階地下1階
 保険・ビル・駐車場事業等を展開する銀泉(大阪市中央区)は現在、2022年1月末竣工予定の「銀泉西新橋ビル」を進めている。
 「銀泉西新橋ビル」は、外堀通りと日比谷通りの交わる西新橋交差点の角地で行われている建替えプロジェクト。従前同地に建っていた「田村町ビル」は、1965年竣工と築年数の経過等を理由に解体。新たに地上12階地下1階・延床面積は約7781㎡の同ビルが建つことになる。都営地下鉄「内幸町」駅出口直上に位置し、「新橋」駅や「虎ノ門」も徒歩圏内。アクセス性に優れており、交差点角地の立地から視認性も高い。また僅かに湾曲した日比谷通りへ建物の正面を向けることで、専有部内からは丸の内まで見通せる眺望を確保できた。日比谷公園から連なる緑地帯も加わり、緑が見渡せる点も生かしている。
 ビル事業部門東京ビル開発部長の益子俊彦氏は「ビルの外観も特徴的です。日本古来の建築にも繋がる普遍的な意匠、軒の繋がりをデザインに採用しました。軒天に木材を用いることで交差点から見上げた時には、木が重なる印象となります。港区の二酸化炭素固定認証制度の国内木材利用促進『みなとモデル』を上手く活用し、外装に木材を積極的に使用することで、周辺を行き交う人々からは柔らかい・温かみのある印象に見えるでしょう。交差点角地の立地で視認性も高く、免震構造の採用や72時間稼働可能な非常用発電機の実装などBCP対策にも配慮していることから、企業の本社オフィス等に最適と思われます」と語った。
人のコアと整備のコア 分離で面積効率が向上
 一方オフィスは専有面積約456㎡(約138坪)の整形無柱空間。人のためのコア(EVやトイレ等)と設備のコア(空調機械室や電気・通信関係のEPS室)を分離させ、L字型に配置することで面積効率が向上。設備コアを90度振ることで空調ダクトは梁と並行になり、梁貫通は最小限となった。更に設備コアを西日対策で西側に集積させ、その外側にバルコニーを設けた。結果、設備のメンテナンス等は専有部内に入ることなく対応でき、入居テナントからもセキュリティ上の安心を提供できる。ちなみにオフィスを囲うバルコニーは、窓清掃等の清掃用バルコニーとしても機能。メンテナンスのしやすさに特化したビルでもある。
 周辺に調和したデザインと共に、周辺環境にも意識している。例えば、バルコニーの出を調整することで、周辺の建物との壁面線を揃えた。敷地内の1階には樹木を配置し、街への緑の波及や提供、安らぎも感じられる空間を形成。かつ1階店舗の視認性も損なわない配置を心掛けており、オフィスエントランスとも別の造りとなっている。更に屋上は緑豊かな庭園を設けることで、テナント(就業者)のサードプレイスとしても機能する。益子氏は「ランチや休憩、イベントなどの多目的な利用に機能し、複数人から1人でも活用できるフレキシブルな空間となります。日比谷公園等を含む緑化の流れを上手く取り入れることができ、テナントには快適な環境も提供できます」と語った。




週刊不動産経営編集部  YouTube