不動産トピックス

クローズアップ 一括リノベーション編

2022.03.28 10:49

 不動産オーナーが改修・リノベーションを手掛ける企業へ依頼する際に、事業企画から設計・施工まで含めてトータルで依頼するケースが増えている。改修全般での連絡業務や手間が改善し、リノベーションも統一感のある仕上がりになりやすい。

カプセルホテルからオフィスへ1棟丸々用途変更
改修・リニューアル専門のスペースクリエーション事業部
 壁装材・床材・ファブリック等の内装材を取り扱うサンゲツ(名古屋市西区)は、3年前に改修・リニューアルを専門に行うスペースクリエーション事業部を発足。物件の改修・リニューアル提案を事業者向けに、積極的に展開している。
 スペースクリエーション事業部は、デザイン、コンサル、施工、エクステリア(庭や外壁等の建物の外観全体)等をワンストップで提案できるビジネスモデルを生かし、オフィスや商業施設等へ空間そのものを最適な形で提供している。将来的な新築需要の減少を視野に入れた上で、非住宅分野のリニューアル市場を注目市場として捉え展開。デザインや施工を含め、顧客・現場情報といった様々な分野でのグループ全体で連携を強めつつ、長期的な視野での成長を目指す。そんな同事業部での実施事例に、日本橋横山町で行ったカプセルホテルからオフィスビルへのコンバージョン(用途変更)がある。
 物件は1991年6月竣工・地上8階建てで、クライアントはビルオーナー。従前カプセルホテルであった物件をワンフロア1テナントのオフィスビル「RONDO日本橋(ロンド日本橋)」へ、1棟丸々用途変更並びに改修工事を行った。改修は主に内装や設備をオフィス仕様へ変更したことであるが、既存の内装や機能も生かしている。例えば、エントランスからのアプローチや2階から上のオフィスフロアでは既設を活用した。その一方で大幅に変わったのが最上階にあった大浴場。大浴場をオフィスフロアへ変更し、かつフロアの半分はルーフバルコニーとなった。各階全てに清潔感のある男女トイレを造り、専有部(基準階面積200㎡)はなるべく大きく取れる設計を行い整えた。
 また1階はカフェを兼ねたレストランであったが、コンバージョンにあたってスケルトンへ改修。カウンターを取り外し、フローリングの様な木目調デザインのカーペット(塩化ビニールタイルの床材)を敷いて、意匠性も大幅に変更。この改修が功を奏して後に個人の服飾テナントが入居した。その他のフロアや箇所でも同社のカーペットを床材に採用する、リアテックシート(粘着テープを使用した化粧シート)を壁紙へ採用するといったサンゲツの強み・らしさを存分に生かした。
 スペースクリエーション事業部の関新吾氏は「オーナー・管理会社と共に協力してプランニングを行い、建物外観等はファサードも含めてビル1棟全てを設計しました。コンバージョンに関しての工事は約3カ月、設計も含めると約半年を要しておりますが、とても納得のいくデザインで昨年6月末に完成を迎えました。1棟丸々を手掛けた事例は初となり、今後の同社の好事例として他の物件やエリアでも展開できる貴重な成功例となりました」と語った。

NTTグループの社宅を一棟リノベーション 事業企画・設計施工・サブリースまでワンストップ
 リノべる(東京都港区)は今年2月、NTT西日本アセット・プランニング(大阪市中央区)が運用する奈良・富雄の社宅を「RUNOAS Tomio」として再生した。
 同社は現在NTTグループの社宅利活用を推進しており、3月までに関西や九州で計7棟が竣工予定。「RUNOAS Tomio」もその1棟で、築38年のRC造4階建て。全24戸の社宅を敷地も含めてリノベーションした。豊富な外構部をまちに開くことで「住育×地域交流×防災拠点」を実現。住まいだけでなく、暮らし方の提案も行う住宅として生まれ変わった。
 リノベるは21年12月に竣工した「RUNOAS Koushien」に続き、事業企画から設計・施工、サブリースまでワンストップで事業をサポートした。今後もワンストップサービスの強みを生かし展開していく。




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