不動産トピックス

クローズアップ 無人編

2022.04.25 13:38

 人口減少トレンドとなるなかで、ロボットの活用や無人サービスといった潮流が拡大している。この新たな流れのなかで、ビルオーナーが経営に生かせるサービスも出てきている。

無人店舗サービス「TukTuk」展開 IoT等を活用した次世代のコンビニエンススタンド
 大企業やスタートアップ企業におけるイノベーション創出や事業創造を支援するRelic(東京都渋谷区)は、無人店舗サービス「TukTuk(トゥクトゥク)」を手掛けている。
 TukTukは幅・奥行600mm、高さ1900mmの小型のショーケース店舗。エントランスや共有部に設置することで軽食やデザート、ドリンク、お菓子といった食料品や日用品などの無人販売を実現したコンビニエンススタンド。
 問題視されているコンビニエンスストアの人手不足やそれに伴う24時間営業の解決を図るのが開発の主たる目的。コロナ前にNTTドコモ(東京都千代田区)が立ち上げた、新規事業プログラム「トップガンR」で開発されたサービスとなる。NTTドコモがスマートスタンドおよびリモート運営システムの技術提供を行い、Relicが運営を担っている。
 TukTukのショーケースには50~100点ほどの商品を陳列が可能。利用者は専用のアプリをダウンロードし、利用するTukTukで購入商品を画面上で選択。事前に登録しているクレジットカードやその他の決済サービスで会計を済ませ、QRコードを読み込ませることでショーケースを解錠する。決済を完了した商品を取り出して持ちかえる。スマホがあれば、完全非接触で買い物をすることができる。
 Relicの取締役でインキュベーション事業本部長の大丸徹也氏は「ショーケースの在庫補充はTukTuk運営スタッフが行うため、不動産オーナー企業は手間をかけずに効率的な運用ができます。販売商品の価格にはダイナミックプライシングを適用しており、賞味期限が近い商品の価格を調整することで廃棄ロスの削減にもつながります。NTTドコモ社独自のアセットを生かしながら、ベンチャー企業である当社のスピード感を掛け合わせた、高品質で柔軟な運営ができる点が強みです」と話す。
 TukTukは着実に実績を伸ばし、今年2月には大阪ガス都市開発(大阪市中央区)が保有する都心型賃貸マンションシリーズ「アーバネックス」13棟への導入を発表した。マンションやシェアハウスといった住宅物件の共有部をはじめ、オフィスへの導入も進んでいる。
 「IoTを駆使した遠隔監視システムを導入しており、万引きなどの犯罪行為や筐体の故障などを遠隔で確認が可能です。複数の物件を保有・管理しているオーナー様でも利用者様の安心・安全を確保できます。利用者様からは『天気の悪い日でも外に出ることなくお昼ごはんを買える』など、手軽さを気に入っていただいています。TukTukの導入で入居者様の利便性向上に期待できます。設置エリアは都内に加え、最近は徐々に関東の他の県にも進出。レジデンスやオフィスに加えて、学校や病院など人が集まる場所への導入も進めていく予定です。TukTukでは購買データや利用者の動向を分析することで利用状況を細かく把握することもできます。データに基づいた運用改善をさらに進めていきます」(大丸氏)
 白熱が予想される無人店舗市場。業界を牽引していくTukTukに注目したい。

NTTコミュニケーションズ/三井不動産 無人パトロール・フードデリバリー実証実験
 NTTコミュニケーションズ(東京都千代田区)と三井不動産(東京都中央区)は愛知県名古屋市にある久屋大通公園の北エリア・テレビ塔エリア(Hisaya―odori Park)において「人とロボットが寄り添う新しいライフスタイルの創出」を目指して、ロボットを活用した無人パトロールおよびフードデリバリーの実証実験を5月30日から開始する。
 NTT ComはHisaya―odori Parkにおいて、AI映像解析や位置情報解析技術を活用した「安全安心な街づくり」の実現に向けた検証を行っていて、21年6月からはデジタル空間上に「Hisaya Digital Park」を再現。リアルとバーチャルの連携で、新たな顧客体験の創出に向けた実証実験を行ってきた。
 一方、三井不動産はPark―PFI制度によって開発したHisaya―odori Parkの指定管理者として来園者や来店客の利便性の向上と新たな価値を発信する場所を目指し、様々なステークホルダーと協同した取り組みを進めている。
 名古屋市は5Gを重要な情報通信インフラの1つと位置づけ、その効果的な活用方策について検討。超高速、超低遅延、多数同時接続という5Gの性質で、高精細画像によるリアルタイムかつ精緻な状況把握や共有が可能となるため、民間企業などとも連携。これらの性質を生かした新たな市民サービスの提供やサービスや生産性の向上、また民間分野における新事業の創出にも取り組んでいく方針を持っている。
 今回の3者の取り組みでは、NTT Comが取り組んできた「Smart Mobility」の取り組みのユースケースの1つとして、ロボットによる自動運転・遠隔監視を活用した検証を行っていく。




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