週刊ビル経営・今週の注目記事
毎週月曜日更新
中央林間 テナントリーシングを積極的に活用
2018.04.09 12:47
神奈川県大和市は「中央林間東急スクエア」の3階に図書館と市役所分室、子育て支援施設をオーブンした。東京急行電鉄(東京都渋谷区)が運営する「東急中央林間ビル」は3月28日に「中央林間東急スクエア」としてリニューアル開業したばかり。4月に入り、テナントとして入った大和市の3つの公共施設が業務を開始した。
「2015年に『中央林間地区街づくりビジョン』を策定している際に、『東急ストア』がリニューアルするという話を耳にしました。駅近の物件は、我々にとっても非常に魅力的。3階フロアの一部をお借りすることにしました」と、大和市街づくり総務課課長の財津保真氏は、経緯を話す。リーシングを用い、現在の形にした。
4月1日に、中央林間図書館をオープン。約740㎡に1万7000冊の蔵書を用意した。また同フロアにある星乃珈琲店には、図書館の本が持ち込める。同市は1年半前オーブンした文化創造拠点『シリウス』にもスターバックスコーヒージャパンを組み入れ、本を持ち込める図書館をつくった実績がある。こうした工夫が奏功し、『シリウス』では年間300万人を超える利用者があり、記録的な成功を収めている。
同日にはまた、大和市子育て支援施設もオープン。「託児室」は満1歳から未就学児までが対象とし、1時間500円で市外の乳幼児も利用できる。さらに2日は、市役所分室もスタートさせた。
同市は、縦長の地形。北部は「中央林間」駅を中部は「大和」駅、南部は「高座渋谷」駅を中心に整備を進めてきた。2010年に同市は、高座渋谷駅前の複合ビルの中に『ikoza(イコーザ)』という学習センター及び多目的ホールをつくった。こちらは駅近の市の土地を民間に貸し、その民間が建てたビルを同市がテナントの一つとして借りている。
「自治体がビルを所有してしまうと、民間企業に貸すことはできません。しかもランニングコストもかかるため、建物は民間に建てていただき、それをお借りするほうが我々としても好都合なのです」(財津氏)
自治体が、民間のビルにテナントとして入る。こうした動きが、今後も増えていくといい。