不動産トピックス
ホテル運営会社次の一手を探る
2022.05.30 13:48
スクウィーズ 無人型ライフスタイル宿泊施設展開 DXソリューション駆使
SQUEEZE(東京都港区)は、昭和住宅(兵庫県加古川市)と協業し、スマートホテル「Minn新大阪」(大阪府大阪市)を開業させた。昭和住宅社の不動産開発・企画ノウハウと同社のDX(デジタルトランスフォーメーション)ソリューションを掛け合わせ、安心安全、かつ新しい生活様式に則した無人型ライフスタイルホテルを展開していく。
同社と昭和住宅社は2018年より協業し、同年8月に東京都大田区に第1棟目となる「シアテル羽田」をオープン。「Theater(シアター)xHotel(ホテル)」のコンセプトをもとに、狭小地に16室のコンパクトホテルの無人運営を実現した。プライベートシアターのように映画が楽しめる宿泊スタイルが好評を博し、第2棟目として2021年5月には「シアテル羽田2.」を開業した。
SQUEEZEが提供する遠隔接客サービス「クラウド運営チーム」を運用する。これは複数のホテルを一元管理しフロント業務やマーケティング業務を遠隔(リモート)にて提供できるクラウドサービス。同社は2019年に子会社であるSQUEEZE Asiaをカンボジア・プノンペンに設立し、リモートコンシェルジュ事業をスタート。カンボジアのセンターからのみならず、国内外の在宅ワーカーでもホテル業務を遠隔サポートできる仕組みを構築した。
24時間365日オンライン上で利用客のチェックイン・アウトや予約受付、電話・メッセージ対応、部屋の在庫管理、清掃業務管理等の幅広い業務を行っている。昨今は、新型コロナウイルス感染症により、生活のあらゆるシーンで非対面・非接触が推奨されており、ホテル業界においても遠隔接客サービスのニーズは急増している。
また、同社が自社開発するクラウド宿泊管理システム「suitebook(スイートブック)」は、複数施設管理に適した機能を搭載し、フロント業務の自動化や情報を一元管理することで、遠隔地からでも漏れのない効率的なゲスト対応や清掃管理が可能。「suitebook(スイートブック)」は宿泊業務の生産性を高めるSaaS(Software As a Service)として、チェックインシステムやスマートロック等の様々なIoTとも柔軟にAPI連携が可能であり、常に最新のオペレーションへと改善ができる運営体制を支援している。
今回オープンする「Minn新大阪」は、新大阪駅から徒歩5分のロケーション。Minnブランドのスタンダードであるオンラインチェックイン、エクスプレスチェックアウトを導入しており、予約からチェックアウトまでの手続きがスマートフォン上でシームレスに完結。
滞在中はオンラインコンシェルジュが24時間サポートする。各客室にはキッチン、家電を完備しており長期滞在も可能だ。同施設は新たに103インチの大画面プロジェクターを導入、手持ちのデバイスから映画を投影しプライベートシアターとしても楽しめる。
同社が展開しているライフスタイルホテル「Minn―your second home」は、グループや家族の「みんな」で泊まれることに、宿泊施設を意味する「inn」を掛け合わせた独自ブランド。2017年、第1号店となる「Minn十三」を大阪・十三にオープン。その後東京や長野にも施設を増やし、4名以上のグループやファミリー層でも1部屋に宿泊できる部屋を提供している。
アパグループ 新中経売上高2000億円達成へ
アパグループ(東京都港区)は、4月1日より新体制へ移行したことに伴い、新5ヶ年計画「AIM5(エイム・ファイブ)~APA Innovative Movement」を始動させた。創業51年間で培われたグループのDNAを残しつつ、元谷一志CEOを中心に、従来のトップダウン経営から組織型経営に移行。社内情報ツールを活用しながら社内の知を結集する。新型コロナウイルス感染症の世界的な流行をきっかけとした需要動向の変化や、DX化に代表される技術革新の波を捉えながら、100年企業を目指して持続的な経営基盤の確立を目指す。
基本方針として挙げているのは、(1)アフターコロナ時代における顧客ニーズの変化への対応(2)AIの進化やDX化の進展による攻め(顧客)と守り(本部機能)の業務変革(3)5年後、10年後、20年後を見据えた長期的な組織体制の構築。
事業の戦略としては、「需要動向を踏まえたアパホテルネットワークの展開~出店エリアの選択と集中」で、エリア特性を考慮した直営・FCの出店エリアマネジメントや、FC拡大強化に向けた出店スキームの開発、アパ直のOTA化によるアパホテルネットワークの強化、北米大都市圏におけるコーストホテルブランドの拡大、を掲げている。
「進化するアパホテルとしてのサービス品質の向上~ブランド統一品質の確立とホテル毎の個性の追求」では、アパホテル新会員制度の導入によるLTV(顧客生涯価値)の高い顧客の創出、現場提案型の風土づくりによる、365日企画を絶えさせない「Much Better!APA HOTEL」、地産地消をテーマに、地域トップの朝食評価で選ばれるホテルづくり、訪日外国人が安心して利用できる環境づくり(多言語対応の標準化等)。
「DX化推進による攻めと守りの業務変革~業界に先駆けたホテル運営の新たなスタンダードの構築『アパホテルはラボである』」では、デジタル技術を用いたスマートホテルの追求、AIを活用したネット管理やレベニューマネジメントの高度化、蓄積された顧客情報を活用したマーケティング手法の確立、ノウハウや知的財産の収益化の推進、に注力していく。
これらの施策により同グループでは、グループ全体で、2027年11月期連結売上高2000億円、経常利益450億円を目指す。ホテル事業では、アパホテルネットワーク客室数15万室、不動産事業は2026年度までに、流通契約件数370件・売上金額5億円。マンション管理事業は、2027年3月末にマンション管理戸数2万戸、賃貸事業は、2027年3月末に賃貸物件入居率90%の達成と維持、自社保有物件95%の達成と維持、を定量目標として挙げている。
ソラーレH&R ”アンドルームス”ブランド札幌に
東急不動産(東京都渋谷区)とソラーレ・ホテルズ アンド リゾーツ(東京都港区)は、「ホテル・アンドルームス札幌すすきの」(北海道札幌市)を今年夏に開業させる。
同ホテルは札幌市営地下鉄東豊線「豊水すすきの」駅から徒歩3分に位置。全155室。名古屋や京都、大阪にあるソラーレホテルズの「ホテル・アンドルームス」ブランドの7軒目となる。
「ホテル・アンドルームス」は”一泊のストーリーを充実させる「&」がある”というコンセプトのもと、レジャーからビジネスまで幅広い用途に利用できるカジュアルスタイリッシュなホテル。同ホテルには”一泊のストーリーを充実させる「&」”として「サウナ」と「カフェ」の設備を設け、サービスを提供していく。
一方、東急不動産は総合デベロッパーとして、オフィスビル・商業・住宅・リゾート等多岐に渡る開発事業を推進してきた。札幌エリアでは現在、ススキノラフィラ跡地における商業開発事業「(仮称)札幌すすきの駅前複合開発計画」への参画や、中央区における住宅開発事業「ブランズタワー札幌大通公園」および「ブランズ札幌南7条」を推進している。
ソラーレ・ホテルズ アンド リゾーツは、「雨庵 金沢」「ザ・スクエアホテル」「ホテル・アンドルームス」「ロワジール」「ロイヤルパインズホテル浦和」「チサン」など17のホテルブランドを有し、国内61カ所、海外1カ所、9041室のホテル宿泊部門および売店部門・料飲部門・大浴場・スパの運営、アセットマネジメント、フランチャイズ運営などの事業を展開している。
サムティ 「メルキュール飛騨高山」オープン
サムティ(大阪市淀川区)は2022年12月にアコー(本社・フランス)が運営を行う「メルキュール飛騨高山」(岐阜県高山市)を開業させる計画だ。
同ホテルは、JR「高山」駅から徒歩4分の場所に位置し、161室の客室、レストラン、バーを備える。最上階には露天風呂、室内温泉浴場、貸切露天風呂を用意しており、高山の四季折々の風景を楽しみながら、ゆったりと贅沢な時間を提供する。
岐阜県高山市は、ユネスコ世界遺産の白川郷へのアクセスも良く、その木造家屋の数々が江戸時代へタイムスリップさせるかのような体験をすることができる。飛騨高山の繊細かつ大胆な伝統工芸品からインスピレーションを得たホテルのデザインは、粗削りながらも、優しく暖かい空間を演出する。
メルキュールは、国際的なネットワークの強みと、その土地での真の経験を組み合わせたミッドスケールブランド。アコーは国内8都市に18のホテルを運営。メルキュール飛騨高山は日本において7番目のメルキュールホテルで、世界の60の国々にある810を超えるホテルに加わることになる。
変なホテル東京 浜松町 個室ワークブースを設置
ピアズ(東京都港区)の子会社である2Links(東京都港区)が展開する個室ワークブースRemoteworkBOXがこのほど、「変なホテル東京 浜松町」(東京都港区)に導入され、サービスが開始された。5月以降、日本全国の「変なホテル」にて随時展開していく。
コロナ禍となり働き方が変化しテレワークを導入する企業が増加している。今まで「変なホテル」では昼間帯の時間貸しで客室を利用できる“テレワークプラン”を販売してきたが、“変わり続けることを約束するホテル”として、ホテル館内にRemoteworkBOXを設置し、コロナ禍で変化した様々な働き方に活用できるサービス提供を開始したもの。
RemoteworkBOX内にはデスクとワーキングチェアを設置、Wi―Fi環境・電源・防音・換気設備を整えた。ボールペンや計算器などの文房具を無料貸出しする。また、仕事だけでなく、仮眠・休憩やリラックスの場所としても活用できるよう備品も用意する。
RemoteworkBOXは2021年3月からトライアルを開始し、6月から本格的にサービスをスタートさせた。空きテナントや集合施設、コワーキングスペースの一角など様々な場所にチャレンジしていく中で利用者や不動産オーナーの声に耳を傾けながら拡大を続けている。