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<事業継承問題を考える>吉田修平法律事務所 後継者が円滑に事業承継できるよう検討 相続の際に発生する遺留分をいかに解決するか
2007.09.03 10:22
平成19年2月、経済産業省中小企業庁内に、相続関連事業承継法制度検討委員会が設置された。
中小企業の事業承継を円滑にする検討を行うことを目的としており、各関係団体や有識者により「事業承継協議会」が設立され、これまでの計7回の検討を経て、今年6月末には中間報告の策定・公表が実施された。
中間報告の焦点は、円滑な事業承継に必要な後継者への事業用資産の集中について、遺留分(配偶者や子供等に補障された最低限の資産継承の権利で、原則法定相続分の半分)等の民法上の制度が障害となる実態と、その解決に向けた制度の在り方を検討するという点だ。同協議会で委員を務める吉田弁護士は、次のように話す。
「経営者が後継者に事業用資産を引き継ぐにあたり、遺留分による制約は大きいものです。中小企業経営者の財産は事業用資産が多くを占めておりますから、相続時に遺留分が後継者以外の兄弟等へも分散されます。従って、後継者が事業資産を集中させ会社支配権を握ることが難しくなりますし、また事業資産を集中させるには長期間の裁判手続きが必要となります。ビル賃貸業の場合、相続時にビルの所有権(事業資産)が分散され、後継者が一括で保有するためには共有物分割訴訟の手続きを行い、相手が保有する権利と同等の資金を譲渡する必要があるなど、相続人にとって大きな負担となっています」
この現状を踏まえ、「事業承継契約(仮称)スキーム」の創設と、一定の場合に生前贈与された自社株式の評価額を贈与時のものとすることの許容の2点が、新規立法事項として特に必要性・妥当性が高いとされる。なお「事業承継契約(仮称)スキーム」とは、当事者間の合意によって事業用資産等を分配すると共に、相続開始後の遺留分に関る紛争を防止する手当てを含む契約類型だ。
また、生前贈与された自社株式が後継者の尽力により変動する場合、相続人間の公平な分配についても慎重に検討していく必要があるとされ、今後も同課題は要検討であるとしている。