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新ビル開発 ヒューリック/日本土地建物/他 仙台ファーストタワーが竣工 竣工時の稼働率は約8割賃料は周辺の3~4割増

2007.07.09 15:00

 ヒューリック(東京都中央区)、日本土地建物(東京都千代田区)が、みずほ銀行(東京都千代田区)と共同で仙台市青葉区一番町3丁目にて進めていた「(仮称)仙台共同ビル」の第1期工事の事務所棟「仙台ファーストタワー」が竣工した。
 このプロジェクトは、仙台市における「都市再生特別地区」の摘要第1号プロジェクトとして、平成17年9月に着工したもの。都市再生特別地区に認定されることで、容積率割増限度や形態規制の緩和や、都市への貢献度合いに応じて容積ボーナスを得られるなどのメリットがある。開発地は商業地域で容積率は600%だったが、最高限度1050%の容積率を得た。第1期工事で事務所棟、第2期工事で商業棟とアトリウムを建設する計画で、全体の完成は平成21年5月の予定だ。
 事業化に当たっては開発型証券化手法と定期借地権制度を活用。ヒューリックおよび日本土地建物の出資に基づき設立した「仙台一番町開発特定目的会社」(TMK)と、みずほ銀行が、土地を賃借し区分所有建物を建設する事業スキームとなる。
 また、TMKには、全国で2例目となる財団法人民間都市開発推進機構の「まち再生出資業務」による出資を受けた。「仙台ファーストタワー」は地上24階地下2階、高さ99・9m、延床面積約2万4339㎡で、みずほ銀行仙台支店の他、みずほコーポレート銀行、みずほ信託銀行、みずほインベスターズ証券などみずほフィナンシャルグループの各社が全体の約3分の1を使用。他のフロアには大成建設をはじめ、仙台に拠点を構える大手企業の支店などが入居する。竣工時の稼働率は約8割だ。
 基準階面積は707で、免震構造および強風時の風揺れを低減する制振構造を採用。高遮断熱複層ガラスや光センサー付照明を導入し、緑化を行なうなど環境へも配慮した。
 オフィス部分は、一体整形無柱空間で、OAフロア100、システム天井を設置するなど最新のスペック。1フロア4分割(一部6分割)まで対応できる。賃料は周辺既存ビルに比べて3〜4割程度高めに設定されている。

他の所有ビルも建て替え推進
ヒューリック 不動産開発第二部長 田代則数氏
このプロジェクトは、当社が所有していた旧「仙台富士ビルディング」のキーテナントであったみずほ銀行店舗が、統合によって隣接していた「日土地仙台ビル」に集約されたため、建て替えを検討したことがきっかけでスタートしました。当初は当社単独のプロジェクトとする予定だったのですが、日土地仙台ビルとの共同建替事業とすることになり、さらに都市再生特別地区の認定を受けることで、容積率割り増しなどのメリットも大きくなりました。共同事業を選択したのです。「仙台ファーストタワー」の建つ青葉区一番町エリアは、今後大規模開発が複数計画されていますが、同ビルがその先駆けとなりました。市況が回復し、供給量も少ない時期にあたったこともあり、順調にリーシングを進めています。免震、制振構造を採用しているため、BCP(事業継続計画)の観点からも評価が高く、ハイスペックオフィスを求める大企業の支店用途などの引き合いが複数寄せられています。残り2割のフロアも早晩テナントが決定することでしょう。当社は、創業50周年となる本年度から「日本橋興業」改め、「ヒューリック」として新たなスタートを切りました。今後は「仙台ファーストタワー」に続いて、約100棟におよぶ所有ビルの建て替えを進めていきます。




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