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<業界の新進気鋭>グリットパートナーズ M&A×不動産投資でコロナ禍でも事業拡大 年間の投資金額200億円を目指す
2022.06.06 15:07
グリットパートナーズ(東京都港区)は2018年に創業。CREやM&A戦略の計画立案、実行支援を行うアドバイザリー業務、流動性が低い不動産や未上場企業に投資を行う投資事業、そして不動産テック事業の3つを柱としている。グループ会社は計6社あり、収益不動産投資やRCマンション・アパート・戸建て開発、物件管理・工事、不動産テックを取り扱っている。そのうち、Liv―up(東京都港区)は東証プロマーケット市場に上場している。
代表取締役の三宅雄也氏はモルガン・スタンレー・キャピタルやユニゾン・キャピタルなどの不動産・金融業界でキャリアを積み、投資先の監査役などを務めてきた。不動産や事業会社への投資実務経験が豊富で、「不動産業界に対して、M&A・金融、ITに関する知見を掛け合わせて事業価値を創造していきたい」という想いから創業するに至っている。
収益不動産投資は自己勘定投資から他社との共同投資など多様な選択肢を持っている。政令指定都市の住宅からオフィス、商業施設、ホテルなどを中心に、5~30億円の物件を対象に据える。投資戦略も不動産保有会社を買収するM&A型やCRE投資、バリューアップ投資などと幅広い。「グループ会社を含めて、保有物件は100億円規模に達しています。この資産を生かして将来的にはたとえばAM業務やクラウドファンディング、STO事業への挑戦も考えています」(三宅氏)。
同社はコロナ禍でも事業を成長させた。多くの企業が業績苦戦し、キャッシュ確保のため本社ビルや店舗ビルを売却している。不動産マーケットでは価格の高値安定が伝えられているが、川上からの情報を得られていることから、目線に合った物件を確保。アドバイザリー事業においても事業承継や大企業のノンコア事業のカーブアウトなどの相談が増えている。積極的に案件をこなしていくことで、さらなる事業の拡大につなげていきたい考えだ。所有物件の運用状況についても、地方店舗が多少苦戦しているものの、オフィス・住居はほとんど影響を受けなかった。
三宅氏は「今後も不動産を軸にM&A・金融、ITに関する知見を掛け合わせて、事業成長を目指したい」と話す。年間の投資額も200億円前後まで引き上げていく方針。新規事業の構想も進んでいけば、更に頭角を現していきそうだ。