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いちご/セントロ/コインスペース 「いちご五反田ビル」に時間料金制スペース
2018.04.02 16:48
ワーカーだけでなく学習塾生徒たちもターゲットに
いちご(東京都千代田区)グループのいちごオフィスリート投資法人が保有する「いちご五反田ビル」10階において、3月30日、時間料金制スペース「Coin Space by Centro」をオープンした。それに先立つ28日、関係者向けに内覧会を開催した。運営はいちごグループのセントロ(東京都港区)とコインスペース(東京都港区)が担う。
昨今、働き方改革や生産性の向上、資格取得などへのニーズが高まっている。昨今のノマドワーカーの登場はその代表例だろう。そのなかで同ビルでは昨年秋にもともと入居していたテナント企業が増床のために退去。これまでも「心をこめて既存不動産に新しい価値を創造する心築事業」を推進してきたいちごはセントロを通じて、新しいビジネスコミュニティとして脚光を浴びる五反田に空港ラウンジをイメージした上質な空間と、各種受験のメッカとしての五反田の双方のニーズに対応した自習室スペースを提供していく。
今回の開設について、運営を担うセントロの担当者は「足もとの不動産市況は好調に推移している。そのなかで将来の布石を打っていくことが重要となっていて、当社ではシェアリングエコノミーを軸に考え、事業を展開してきました。今回の『Coin Space by Centro』もその一環です」と話す。
視野にいれるターゲットは幅広い。特に昨今、五反田は「五反田バレー」と言われるほどIT企業や関連するスタートアップが集積する。これらの業界は働き方改革を推進している企業も多い。これらのワーカーの利用頻度は高そうだ。
加えて、「Coin Space」ならではの特長も生かす。時間料金制となっていて、店舗によって料金設定は変わるが、「Coin Space by Centro」では普通席および自習室は12分で100円に設定している。1日会員でも1500円だ。「渋谷などでは若い世代がちょっとした休憩や読書、あるいはカードゲームやお化粧のために利用する人もいると聞きます。いわゆるコワーキングスペースやシェアオフィスとは異なった利用者層の取り込みにも期待しています」(担当者)。
また「いちご五反田ビル」ならではの特長も出そうだ。同ビルには大手学習塾がテナントとして入居している。「テナントの専有部分だけでは自習室にも限りがあると聞いています。まだこれからですが、例えば法人契約を結んでその学習塾の生徒は無料で利用できる、などの展開は有効でしょう。今後、早い段階で具体化していきたいと思います」。
今後の店舗展開は「五反田での実績を見ながら」になるが、スムーズに進めていく見通しだ。担当者は「山手線エリアのいちごグループ所有のビルが中心となるが、たとえば予備校生の需要が一定程度見込めれば非オフィス街のエリアにも進出していきたい」と意欲を見せる。
不動産環境が好調のなかで動き出した次の一手。ビルの付加価値向上に向けて、どのような形で貢献していくだろうか。